クリス・アージリスは、未成熟な人が成熟していく過程で起きる人間的な変化を「未成熟－成熟理論」として、1969年に発表しました。
「ホーソン実験」のあと「科学的管理法」への疑問から生まれた代表的理論であり、その人間観に対する強い批判が背景にあります。
「人間は自己実現に向かって、未成熟な状態から、成熟した状態へと成長していく生き物である」という人間観がその根底にあります。アージリスはその変化を7つの次元で捉えています。
「自己実現」とは、心理学者のマズローが「欲求5段階説」の最も高次な段階として提示した概念であり、アージリスも「人間は誰であっても成長への欲求を持っている」と捉えます。
「欲求5段階説」と「未成熟－成熟理論」を対応させた場合、表の「未成熟な状態」は、マズローが指摘した「生理的欲求」「安全の欲求」にとどまっている状態であると捉えます。その状態にある人に対して、「職務拡大・職務充実（深化）」や、権限移譲、エンパワーメントによる「参加型リーダーシップ」などの環境を整備し、働きかけていくことで成熟した状態に変化してすることをアージリスは説いたのです。
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