「理想」はまだ実現していない「夢」、なので「地に着いた思考」も大切!
(中沢)この巨大な経済の悪夢から、人間は逃げようがないわけです。(河合)それでもできるだけのことはしないとね。(中沢)そう考えると、社会主義というのは面白いと思うんですよ。セノイの夢理論にけっこう近いことをやろうとしたわ...
(中沢)この巨大な経済の悪夢から、人間は逃げようがないわけです。(河合)それでもできるだけのことはしないとね。(中沢)そう考えると、社会主義というのは面白いと思うんですよ。セノイの夢理論にけっこう近いことをやろうとしたわ...
(中沢)僕は人間が起きているときのいちばんそれに近い体験というのは、経済ではないかと。ことに資本主義経済というのは、この夢はひどい夢だと思って(笑)、見てるわけでしょ。けれども、どうしようもない。これをこっちへもっていく...
(河合)先ほどの土器をこねるとか夢のこね方の話で、こねるとか断片の完成ということでは箱庭療法とすごく関係がありますね。箱庭もやはり砂をこねてつくるわけですから。けれども箱庭の場合は、逃げてやろうと思えばいくらでも逃げられ...
(河合)頭がいいというのも、たくさんの才能のなかのちょっとした才能のひとつなんですけど、それをみんながすごく大事な才能だと思うから困るんです。(中沢)しかし、ユダヤ人的に頭の良い人たちというのは、自分たちに欠けているもの...
(中沢)あれは、ユングの本の書き方にも悪いところがあって、そういうものを誘発するんじゃないですか。(河合)そうなんです。(中沢)僕はスイス人の特徴かなと思うところがあるんですけど、わりあい杜撰な置き方をしますよね。(河合...
(中沢)夢分析というのは素材を造形していくものですよね。ところがフロイトの夢分析というのは言語からいってしまうから、土の部分がなくなってしまうわけです。感覚的素材の問題がないところで夢が分析されていく。けれども夢というの...
(中沢)チベットの密教というのも、ある意味で宗教を否定するんです。信仰も否定してしまうんですね。そういうのは嘘だと。僕は宗教学とか宗教のことをやっているけども、宗教家とか宗教の団体に入ってしまった人のところに絶対入れない...
(中沢)修行者だって、山の中に籠ってやっているうちはいくらでもできるんですよ。人間の心というものは面白いもので、とことんまで行けるんですね。いちばん問題なのは、やはり戻ってきたときなんです。(河合)そうでしょうね。 河合...
ヘーゲルが未開・野蛮とかんがえて却けたような「動物生」との近似などはどこにもない。わたしたちが現在抱いているよりも遥かに高度で原生的で弱点のない宗教的な精神(心)の概念しか存在しないのだ。ウェーバーのいう宗教のアジア的な...
近代哲学者たちが言う野蛮、未開とは、ほんとうはそれ以前の大「段階」の終焉であり、同時に現「段階」の初期であると考えるべきで、現在の大「段階」の終焉の後には現在確定し難い次の「段階」に移行する。そう見なすべきではなかろうか...
この間断のない近代的な進歩史観がヘーゲルの世界史の骨格だった。さすがにこの単調な進歩主義は老ヘーゲルの学説上の弟子だったマルクスを当惑させたらしく、「資本主義生産に先行する諸形態」で原始と古典古代の間に「アジア的」という...
(吉本)……わたしは宗教学者としての中沢新一の精神(心)の考古学ともいうべきものに関心をもってきたことになる。日本の仏教学がインド→中国→日本という経路で信仰も研究も行ってきたために経典のつまらない概念も重要な概念も、ひ...
(中沢)だから、自分を守るためにあえて前衛的理論でガチガチに武装して書いたのが『チベットのモーツァルト』でした。いま振り返ってみると、全身に鎧を着けていたようなものです。大切なものは全部、内側へ隠していたんだから。でも、...
(中沢)……吉本さんはその解説の中で、中沢新一がやっていることは「精神の考古学」なのだと書いてくれました。「彼はわたしの勝手な言葉を使うと、精神(心)の考古学をチベット仏教(密教)を素材に追求し、解明したいと考えているの...
今度、『チベットのモーツァルト』を改めて少し丁寧に読んでみて、もう少し立ち入った言い方ができるような気になった。中沢新一は何をしようとしているのか。知識不足でおぼろげなところがあるが、わたしなりに判るところがある。彼はわ...