アドラー心理学への批判

今回のキーワード解説は趣を変えてみることにします。「アドラー心理学への批判」です。
以前のキーワード解説である「人を理解するとは?」で、『現代に生きるアドラー心理学』のなかの次の記述を引用しました。

一般に科学は、テクノロジーの進化によって修正を経験しましたが、哲学はその前提に関して遥かに安定性があります。ですから精神分析学派と違い、アドラー派は、査定と心理療法の実践スタイルを多様にすることができたのです。

つまりアドラー自身は、フロイトの「精神分析」と異なり、科学的であることにそれほどこだわりを持っていなかったのです。ただし多くの人は、アドラーを臨床心理学者として認知していましたし、初期の論文である『器官劣等性の研究』は、生物学的な機能を心理学に置き換えてアプローチしており、自然科学と社会科学の融合論文として、当時の最先端理論であると評価されています。

アドラーの相貌はどんどん変化していくのですが、「科学の纏い」を当たり前のものとして受容する識者にとっては、なかなか理解されないところもあったようです。第11章「個人心理学理論への批評」の中の一節です。

アドラー初期の講義の中で、次のような逸話があったと聞いています。聴衆の一人が立ち上がって「しかしアドラー先生、あなたの話すことは全て常識です!」と発言しました。アドラーは、「ですが、それで何が悪いのですか? 私はもっと多くの精神科医がそうであってほしいと思います」と答えたと言われています。
アドラー派は、伝統的に“常識”を話すという批判を受けてきました。アドラー派は、その批判を受け入れます。それは「正当な批判」で、アドラー派は、実際に“常識”を話します。アドラーは専門用語が嫌いで、自分の体系は科学ではなく、哲学に基づかせたいと望み、必ずしも学問的訓練を受けていない人々にも呼びかけました。

「“常識”を話すという批判」は実に面白いですね。
聴衆の批判に対するアドラーの「切りかえし」も実に見事です。アドラーは、人それぞれの価値眼が異なっていることを自明として受けとめます。だからこそ、この発言者と同じ土俵の乗ることなく、自分の思いを自然体で語っているのです。

アドラーの人柄を含めて個人心理学を継承するアドラー派のメンバーのスタンスも、「その批判を受け入れます。その批判は“正当な批判”です」と語るように、実に爽やかですね。
「アドラーこそ、最強のプロコーチではないか」、と愉しい思いで、この逸話を読んだことを思い返しています。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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