子どもが親の愛を感じるのはどのような時だろうか?

河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の44番目のタイトルは、「物が豊かになると子育てが難しくなる」です。

このエッセイ集は、1992年の発刊です。バブル経済崩壊の足音がヒタヒタと迫ってはいましたが、バブル経済によって「物が豊かになった」ことを日本中が共有した頃であり、河合さんの筆致は、30年前の空気が醸し出されているようです。ところが、失われた30年を経て、日本は大きく変わってしまいました。巷間「貧富の差」が顕在化してきた日本の「リアル」が繰り返し報道されています。

河合さんのこのエッセイは、「子どもの欲しがるものを買い与えることができる親」という前提で書かれていますが、自我がまだ十分に育ちきれていない子どもの「わがまま」が勃発した場合、「河合さんは、そのように対峙していくのだな…」と、視野を少し広げて捉えてみようと思います。河合さんは「子育て」を、「親の人間としてのトータルな人格が問われる崇高な仕事」と定義していると感じました。

河合さんの強い思いが込められているこのエッセイの、最後のページに書かれている内容を引用します。

子どものものを欲しかる気持ちがわかり、それを買うお金を十分にもっていながら、それを買わないためには、相当な心のエネルギーを使わねばならない。このとき、親が子どもに対して接する姿勢こそ、その親の個性が出てくる。叱るか、どなりとばすか、説得するか、上手にごまかすか、方法はどれでもいい。親の個性にふさわしい心のエネルギーの消費によって、子どもは親の愛を感じるのである。こんなとき、ハウ・ツー式にやろうとしたり、人真似をしようとする人は、エネルギーの節約、つまり愛の出しおしみをしているので、子どもに見破られてしまうのである。

いかがでしょうか?
「叱るか、どなりとばすか、説得するか、上手にごまかすか、方法はどれでもいい」、と河合さんは言います。この言葉に接した時、11月30日にアップした、「100点はときどき」でよいが、「100点が絶対必要」なときもある、の中で引用した内容を思い返しています。

家族関係のことに例をとってみよう。
会社で沢山用事が重なり、しかもうまくゆかない。残業して頑張ったものの、そんなときに限って、いろいろとチグハグしたことが起こる。疲れ果てて家に帰ると、妻と子が浮かぬ顔をしている。話を聞くと、中学生の子どもが仲間に誘われて窃盗したのが露見して、母親が学校に呼び出されたと言う。こんなときが、「100点以外の答はダメ」というときである。いい加減に説教しても、少しぐらい怒ってみても、80点では駄目、98点でも駄目である。

人生にも、ここぞというときがある。それはそれほど回数の多いものではない。とすると、そのときに準備も十分にせず、覚悟もきめずに臨むのは、まったく馬鹿げている。ところが、あんがい、そのようなときでも90点も取ればよかろう、という態度で臨む人が多いように思われる。このような人が、自分はいつも努力しているのに、運が悪いと嘆くのは、ことの道理がわかっていないと言うべきであろう。

そして私は、河合さんのこの言葉に強く惹かれ、次のようなコメントを添えています。

「模範解答」はないのです。ただし、「息子が窃盗したと世間に知られてしまうのはみっともない」という思いが、最初に去来して、それがトリガーとなっての「怒り」は、おそらく「対話」にならない、ということをお伝えしておきます。

「子どもが物を欲しがった際、のべつまくなしに叱りとばしてもいい」、と河合さんは言っているわけではありません… と添えてしまうと、それは「蛇足の極み」であることを、みなさんと共有することで今回の解説を終えることにします。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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