河合隼雄さんが指摘する「母性原理と日本文化」とは?

河合隼雄さんの『<心理療法コレクションⅣ>心理療法序説』の中に、次のような記述があります。

1965年にスイスより帰国して最初に会った不登校の男子中学生が、「肉の渦に巻き込まれて死にそうになる」夢を報告し、そのイメージの強烈さに圧倒されると共に、太母元型(グレートマザー)が強く作用している国に帰ってきたのだという想いを抱いたが、そのことは現在までの臨床活動のなかで常に問題になってきた。
文化理解のためのひとつの軸として、父性原理と母性原理との対立を考え、前者は「切る」機能を特徴とし、後者は「包む」機能を特徴としていると考える。この両者はともに存在してバランスをとることが必要であるが、いかなる文化もどちらかが優勢であり、欧米と日本の比較においては、前者は父性原理、後者は母性原理が優勢であると考えると、わかりやすい。(140ページ)

CBLコーチング情報局では、これまでも「父性原理と母性原理」について、取り上げてきています。河合さんは「日本文化とは?」を説明する際に、この「母性原理」を用います。そこで、今回のキーワード解説は「母性原理と日本文化」について考察してみることにします。
河合さんは、不登校の男子中学生の夢に続いて、二十歳代の女性の夢を紹介します。

自分の家のようだが、居心地は大分異なって気味の悪いところにいる。そこから逃げ出したいと思う(他にも女の人たちがとらわれていて、仕事をさせられているようだった)。逃げ出すために、カトリックのシスターの服装に変装して逃げる。しばらくすると、魔法使いのおばあさんのようなのが追いかけてくる。術を使って呪文をとなえると、茶色の小鳥が目の前に広がってしまい、自分は歩けなくなってしまう。(141ページ)

この夢の紹介はもう少し続くのですが、その後で河合さんは次のように記述します。

この夢は当時の日本の若者の置かれている状況を実によく表している。太母のもとにとらわれて自立してゆけぬ女性は、ついに「天なる父」をいただく宗教のたすけを借りて、シスターに「変身」してでも脱走しようとするが、魔女の呪文によってたちまちつかまえられて連れ戻される。ここで、太母のネガティブなイメージが西洋の魔女に近づいているのは興味深いが、その力は相当なものである。(142ページ)

河合さんは、半世紀以上前の夢の事例で、「“当時の日本”の若者の置かれている状況を実によく表している」と捉えています。未だに性役割分業が文化の基底に存在する日本では、全方位の努力を重ねて管理職のポストを獲得し奮闘する、30~40代の女性が、60~70代の母親に対して抱く太母(深層心理に存在します)は、当時と変わっていないようにも感じます。

キリスト教文化圏の場合は父性原理が強いので、子どもの深層心理に形成される強い元型(ネガティブ)イメージは、父親に向かいます。一方日本の家族は、父親の存在が希薄なので(性役割分業の影響も背景として挙げられます)、子どもの生育過程で、西欧には見られない母子の関係性(母子密着)が形成されていきます。

リアルな世界は大きく変わっているのもかかわらず、日本全体の価値観はその変化に対応しきれておらず、そのひずみはさまざまなところに現出しています。「母性原理」そして「太母」の視点は、母親と子ども(特に妙齢になった娘)との葛藤をとらえるうえで、有意義な視座を与えてくれそうですね。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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