『<心理療法コレクションⅥ>心理療法入門』の第8章は、それぞれ独立したコラムを配置する、といった構成です。前回は「IT革命」でしたが。その次の見出しは「女性の生き方」です。とても難しいテーマですが、取り上げることにします。
河合隼雄さんは、「心理療法と時代精神、それに女性の問題は少し複雑な関係を持っている。心理療法はもともとヨーロッパからはじまり、アメリカに渡ったものである」と語りを開始し、100年の歴史を紐解きます。
ユングは西洋社会が「原理的に女性を劣等視する」傾向が強い状況にあって、「アニマ、アニムス」という考えを提起し、父性原理優位の考え方を補償する母性原理の重要性を強調したことを河合さんは解説します。それでも…
しかし、ユング自身もまったく時代精神から自由になることはできず、アニムスによって動かされる女性を必要以上に問題視するようなこともあった。(215ページ)
と捕捉します。そして中盤から、河合さんの論点が展開されます。
男性と女性は同じではない。この点を不必要に強調して、男性優位の社会をつくってきたが、それに挑戦して男性と同等の能力のあることを主張し、それが達成された上で、果たして、自分が女性であるとは、どういうことかという、根源的な問題に突き当たったのである。(215ページ)
河合さんは、「男性にとっても根源的な問題である」と触れつつ、多くの男性が、「自分とは何ものなのか」を探求することに思い至らない、その理由をつぎのようにコメントします。
多くの男性は、地位、財産、家族などのことにこころを奪われてしまっていて、根源的な問いに関する仕事に至らないか、あるいは、前者のことでつまずきが生じても、心の問題として意識することが少ないので、心理療法家のところに訪れてくることが、女性に比して少ない、と思われる。(216ページ)
今日、「有害な男らしさ」という言葉(揶揄?)がネットで広がっていますが、多くのジェンダーバイアスが生き残っている環境にあって、男性の多くが、まだその環境と無意識に同化しているから… と捉えると、河合さんの言う「根源的な問いに関する仕事に至らない」背景の一つとして、補完できるかもしれません。
河合さんは、欧米との比較も含めて、この大きな課題を「父性原理」と「母性原理」との折り合い、そして「自己実現」というキーワードで捉えます。「相補性」です。
「コーチングとは何か?」を考えるうえでも、重視したい視点です。
西洋の文化のなかで女性の生き方について述べてきたが、日本ではどうなるのか。ここに簡単には述べ難いものである。日本はいまだに母性原理が強い国である。したがって、男性は社会的な地位や権力という点では女性より優位に立っているが、その生きる原理は母性原理優位である。その上、欧米文化の影響を強く受けているので、タテマエとホンネの使い分けのなかで、父性原理と母性原理が奇妙に交錯するようなこともある。このような状況のなかで、すでに述べてきたような筋道によって説明はできないが、結論的には、いかにして父性原理と母性原理の折り合いをつけるか、本来的な自己実現の道をどのように歩むかなどの課題を背負っている、という点は、欧米と同様に日本においても大いに自覚しなくてはならないことでもある。(217ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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