『<心理療法コレクションⅥ>心理療法入門』のなかの一節です。
人間はそれぞれ物語を生きようとしている、と最近ますます思うようになった。それは一人ひとりすべて異なり、ひとつとして同じものはない。そのような意味で、人間は全て創造的に生きている。(中略)
世界中に同じ人間がいないように、もちろん、「物語」も同じで、それが「唯一無二」で一回限りのものであることに誇りを持つべきだと思うが、実際は、これまで述べてきたように、自分で勝手に標準物語や理想にとらわれてしまって、身の不幸を嘆くことになる。あるいは、全く自信をなくしてしまったり、劣等感に悩まされたりする。それに対して、心理療法家はクライアントが独自の物語を創造できることを明らかにし、その道を進むことを援助するのである。(108ページ)
「標準物語」という言葉は言い得て妙です。世界中に同じ人間はいないわけですから、当然、同じ物語も存在しません。ただ人は、「あるべき姿」を思い描き、それは共有されたものであるとの幻想を抱き、その「架空物語」に同調しようと頑張ってしまうことを河合さんは説くのです。
アドラーはそのことを「自分を責めてしまう自己理想」という表現で説明します。同様な捉え方を、ロジャーズ、エリスなどの臨床心理学者が指摘するのです。
河合さんの場合はユンギアンですから、ユングの視点を紹介しています。
ユングが個性化(individuation)は、達成すべき目標などではなく、過程(Process)であることを強調し、あるいはエリクソンが、アイデンティティに関して、「同一性形成は青年期に始まるわけでも、終わるものでもない。つまり、同一性形成は、その大半が生涯にわたって続く無意識的な発達過程である」と述べているのも、同様のことを言っているものと思われる。(110ページ)
「物語」について語る精神科医をもう一人紹介しておきましょう。フランクルです。幸福感についてフランクルは次のように語っています。
人間が幸福を追い求めれば追い求めるほど、ますます彼は幸福を追い払ってしまうのです。このことを理解するには、人間は結局のところ幸福を目標にしているのだという先入観を克服しさえすればいいのです。
フランクルの提唱した理論は「ロゴセラピー」です。「ロゴ」は「意味」と訳されます。幸福感については、それは追求するものではなく、「そこにあるもの」であり「意味」づけによって「幸福感」は生み出される、というのですね。
フランクルの「意味」は、「物語」のことです。「物語」は、それをつくり出す人によって、「幸せな物語」にもなるし、反対に「悪しき物語」も生まれてしまいます。
コーチングのコーチとは、クライアントの描く未来が、「幸せな物語」となるよう、共に語り合い伴走していく存在であることを、最後に添えておきます。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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