仏教ほどカタルシスのない宗教はありません…
(河合)先ほどの神様のお話ですが、仏教における神というのがムハンマドとかキリスト教に対する神ではなくて、ゴータマ・ブッダは、いわば自分の存在そのものが真理を悟った者、「ブッダ」になっていくわけでしょう。まったく違いますよ...
(河合)先ほどの神様のお話ですが、仏教における神というのがムハンマドとかキリスト教に対する神ではなくて、ゴータマ・ブッダは、いわば自分の存在そのものが真理を悟った者、「ブッダ」になっていくわけでしょう。まったく違いますよ...
(河合)本当ですよ。その高山病体験と悟りの体験がいっしょくたになってしまう。(中沢)エリアーデが『シャーマニズム』という本を書いたときにやはりそのことに触れています。(中略)エリアーデの考え方だと、太古の高度文明ではこれ...
(中沢)その瞑想の練習には呼吸法がいちばん重要な働きをして、呼吸法がどうしても間脳とか脳幹のあたりを活性化させます。古い皮質が煌々と目覚めてくる状態をつくり出す、一つの一ばん確実な道は呼吸法になってくる。大体どの神秘主義...
(中沢)で、「瞑想とは何か」、一言でいうと、大脳皮質系の活動を停止させたときに見えてくるものがあると、そのことに尽きると思います。そのときに何か変化が起こってくる。これを井筒先生は「あらゆる宗教が突き抜けていく先がある」...
(河合)そのときエックハルトとか西洋の神秘思想家たちがやはり瞑想していたということは大事なポイントです。(中沢)大きいと思いますね。(河合)「神に祈っている」のと「瞑想」とはちょっと違って、瞑想の知恵のほうへいくとエック...
(中沢)問題はこの輪廻を脱出したものを「アッラー」と言うかどうか。あるいはユダヤ教で言えば、モーセの眼前に出てきた神は「私には名前がある」と言った。「私には名前がある」、これは精神分析では重大なことなんでしょう?(河合)...
(中沢)…… イスラム教の場合だと、アッラーのほかに神はいないということでしょう。それもたしかにその通りだと思います。アッラーのほかに神はいないと言っているのは、神々はたくさんいるかもしれないけれども、アッラーが神だとす...
(河合)最近、イスラムのことを読んで思ったんだけど、たとえば人間が自然に対してどのように接するかというときに、キリスト教は「神、人、自然」、イスラムは「神、それに対して、人と自然一体」、アニミズムは、みんなぼーっと円環的...
(中沢)…… 迫害の歴史がないというのは、一つは仏教教団が現世を否定したり、現在の社会制度を否定して生まれ育ったものではないということが関係しているんじゃないでしょうか。社会を否定も肯定もしないわけですから。ブッダが最初...
(中沢)ブッダは、イエスの生涯と比べると、まあ起伏のない人生と言えば起伏のない人生だったと思いますね。(河合)もう一つ面白いのは、迫害の話がないんです。大体は迫害されなかったら宗教ではないぐらいでしょう。ムハンマドはもち...
(中沢)…… イスラムの場合も、『クルアーン』自体が矛盾をはらんでいて、この矛盾にどう調整をつけるかという、大人の処方が、イスラムの根底にはあります。この二つの考え方と『新約聖書』の考え方を比べてみますと、『新約聖書』の...
(中沢)きょうはそこで仏教と長生きの話をしようと思います。梅原猛先生などよく「イエスの教えは青年の思想だ。あれは三十代の思想家だ」とおっしゃいます。三十代の初めに残念ながら殺されてしまった。ところがブッダは八十歳まで生き...
(中沢)わかりやすいし、普遍的なんだと思うんですね。ところがキリスト教と仏教はちょっと違うところがある。河合先生、先ほど「ブッダは悟りを開いてから梵天がお願いするまでずうっと黙っていた」っておっしゃいましたけど、実際はそ...
(中沢)最近では『コーラン』ではなくて『クルアーン』と言った方がいいのかな。イスラム教の聖典『クルアーン』を読んでいると、天理教のご教祖の中山みきさんが神様から言葉を受けたときとか、大本教の出口ナオさんとか黒住教の黒住宗...
(河合)それを読んで目幸さんと話したんです。僕がいちばん感激したところは梵天勧請のところで、「ブッダは自分の知ったことを人に言う気がなかった」、あそこにいちばん感激しましたね。梵天に言われてブッダは悟りの内容をとうとう言...