統合失調に陥ったユングは「ボーリンゲンの塔」をつくり7年間引きこもった
(中沢)そういうふうに考えると、職人の技とユングなどの夢理論というのは、非常に関係があると思うんです。一方、フロイトの精神分析学というのは、カソリックの神父さんが告解所のなかでやっている行為とよく似たことをやるわけですよ...
(中沢)そういうふうに考えると、職人の技とユングなどの夢理論というのは、非常に関係があると思うんです。一方、フロイトの精神分析学というのは、カソリックの神父さんが告解所のなかでやっている行為とよく似たことをやるわけですよ...
(中沢)最初に話したマレイ半島のセノイ族の夢技法というのも、考えてみたら土器つくりみたいなものではないかなという気がするんです。(河合)セノイ族のことなんか、ユング派の人は知らなかったと思うんですよ。けれども、僕なんか夢...
(中沢)…… 彼は『大地と休息の夢想』(草思社)を書いて、夢というものをもう一度大地とつなげるものにしようとしますね。ガストン・バシュラールが書いていることで僕がいちばん印象に残っているのは、これは夢の問題とも絡んでいる...
……反ユダヤ主義文献の全部に共通するのは「ユダヤ人がその社会で支配的な擬制(律法、倫理、貨幣、国家、等)を媒介にして、人間本来のみずみずしい生命の流露をせき止めている」という告発である。つまりユダヤ人は「つねに自分たちよ...
(中沢)……今のソビエトにとって、ユダヤ人問題がいちばん大きいんです。というのは、反共主義の陣営に立っているロシア民族派の人たちは、ものすごく強硬な反ユダヤなんですね。彼らが言っているのは、要するに社会主義革命というのは...
(中沢)…… 今日の文明は、やはりユダヤ的な知性が大きくリードしてつくられているわけで、そういう世界のなかでは、ユングのように霊的なものを大事にする人たちというのは、頭が悪いと言われるわけですね(笑)。(河合)そうなんで...
(中沢)……その人たちは非常に頭がいい。語学もできるし、分析力も非常にある。けれどもチベット人のお坊さんたちにいわせると、あの人たちはわかっていないという点があるんです。重要な一点なんですけれども、それがわからないんです...
(中沢)…… 一向宗の場合は、同じ一神教といっても縄文的な一神教というか、あれをやっている人たちというのは、職人さんとか山で生活をしている人とか、そういう人たちが多いですからね。そのベースになっている宗教というのは、縄文...
(中沢)今の科学者はそうでもなくなってしまったけれども、草創期の科学者というのは、みんなが夢をもちヴィジョンをもっていましたよね。あのヴィジョンに、僕はほとんど宗教に近いものを感じるんですけれども。(河合)そう思いますね...
(河合)その一神教の流れが自然科学なんですよね。みんな、それだけを信じているわけです。(中沢)河合先生はこのあいだ新聞に、神様はたくさんいるんだということをお書きになっていましたね。人間の無意識のなかにいろいろなパターン...
(河合)しかし、神の声を聞いたときに、それが絶対正しいとは思わないところが、いわゆる宗教とは違うところですね。(中沢)そうですね。ですから一神教のそういうものを信用すると、世の中がすごく陳腐なお話になってきますよね。ノス...
(中沢)ところで夢殿というのはどうなんですか。聖徳太子が籠ったとかいろいろなことが言われていますが、ああいうものは、明恵さんの夢に対する関心などと深いところでつながっているものなんですか。 今回より、河合隼雄さんと中沢新...
線路にそってホテル全体がゆるやかにカーブしていくような、東京ステーションホテルの小さな一室で。数年前に『華厳経研究会』という集まりが開かれていて、そこに呼ばれていったぼくははじめて、河合隼雄先生にお会いしたのだった。仏教...
(河合)…… チベットでは、夢は相当大事にするんですか。(中沢)いろいろなレベルがあるんですよ。普通の民間伝承みたいな夢理論もあります。夢のなかで花が出てきたら近いうちに奥さんが妊娠するとか。その手の話というのも、とても...
(中沢)勝ち負けじゃないんだ。(河合)そうそう、そうそう。(中沢)老人の叡智ですね(笑)。(河合)僕は多神教の倫理を、そのように考えているんですね。(中沢)だから、均衡点を見つけてということですね。(河合)そうそう。 河...