コーチングに「グル」は存在しない、ですから宗教ではありません
(河合)そういうふうに考えていくと、密教のことを科学とか心の構造とかと照らし合わせながら、さらに勉強しないといけません。僕はどうも勉強不足ですが。(中沢)いろいろ宗教のことを勉強して言えるのは、たいがいの宗教は順調に発達...
(河合)そういうふうに考えていくと、密教のことを科学とか心の構造とかと照らし合わせながら、さらに勉強しないといけません。僕はどうも勉強不足ですが。(中沢)いろいろ宗教のことを勉強して言えるのは、たいがいの宗教は順調に発達...
(中沢)…… やっぱり今、日本で語られている両界曼荼羅の考え方というのは、空海の独創と考えていいと思います。空海はその考え方を土着的な山岳信仰の伝統と、もう一つ、若い時から深く親しんでいた華厳の思想との影響から着想してい...
(河合)いま言われたけど、インドでは胎蔵界と金剛界は別だったんですか。(中沢)別でした。時代も違いますし、それぞれの考え方を発達させるグループも違いました。インドで仏教大学というものができるようになりますと、そこでは二つ...
(河合)曼荼羅に胎蔵界と金剛界があるでしょう。あれはどう考えたらいいんですか。 今回は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の5番目の見出し<空海の天...
前回は、アインシュタインたちが提起した「EPRパラドックス」(1935年)について解説してみました。パラドックスとあるように「量子論(量子力学)」の帳(とばり)が開かれる歴史の始まりの頃、「理論の不完全性」に“疑問”を呈...
(中沢)曼荼羅の内部では、一人ひとりの、どんな細部に潜んでいる小さな神様も、それぞれが勝手に動いています。しかしその一人ひとりの動きは、ただちに全体につながっていきますから、勝手に動きながら、真ん中にいる大日如来の意図と...
(河合)大日如来は『華厳経』のなかでは一言も言わないんです。(中沢)ただ座っているだけです。(河合)いつ頃何を言うかと思ったら、煙を出すんです。口からぷわーっと(笑)。あれは煙草を吸っているんじゃないかと思う。(中沢)と...
(中沢)…… ですから、曼荼羅には中心に立って、全体に号令を出して動かしていくものはいません。そういうものがあるとしたら、曼荼羅のさらに奥のヴァーチャルな全体性しか考えられません。それをとりあえず、大日如来と呼んでいます...
(中沢)総体として変化していくものを「マトリクックス」として理解したことで、量子論は生まれましたが、仏教は同じことを曼荼羅というかたちで表現しています。曼荼羅でも、一つひとつの細部には神様が配置されていて、それぞれが自由...
(中沢)……何ごとも最初のジャンプだけが重要で、そのあとに出てくるものもみんなそのなかに含まれているものですから、そもそも量子論というものが誕生した、いちばん初めのシーンに立ち戻ってみる必要があると思います。量子論は19...
前回の最後で…プラトンが言ってますでしょう、「清い正しい心」をもった人の思想は、自然と数学的になるって。…という中沢さんの言葉を引用しています。今回は、古代を語る中沢さんのその言葉から始めようと思います。 (中沢)プラト...
(中沢)オーストラリア・アボリジニが砂漠でほかの部族からやってきた人と出会うと、まずその複雑な親族の体系のどこに、おたがいがいるのかを確認する作業から始めるらしいのですが、そのやり方が実にいいんです。砂漠に二人で座り込ん...
(中沢)…… ですから、少し大きくなってレヴィ=ストロースの研究を知ったときの驚きといったらなかったですよ。自分がおぼろげながら考えていたことが、ちゃんと学問として、実に美しく表現されていたんですから。科学的な「理性」は...
(中沢)…… とにかく迷信はよくないものだし、神話、とくに日本神話は危険なものだし、神秘主義は戦わなくちゃならないものだし、歴史には科学的な法則があるし、日本的なシステムはいけないものだし、そういうものすべてを撲滅するた...
(河合)…… だから仏教的な世界観とか仏教的なものの見方とは、近代科学を乗り越えるという点で、非常に役に立っているのではないか。しかも、心のことを科学的に、と呼べるかどうかわかりませんが、いちおう「心」を科学的に考える場...