異なる知と知が交錯し、そして融合します…ケミストリーです!
(中沢)…… とにかく迷信はよくないものだし、神話、とくに日本神話は危険なものだし、神秘主義は戦わなくちゃならないものだし、歴史には科学的な法則があるし、日本的なシステムはいけないものだし、そういうものすべてを撲滅するた...
(中沢)…… とにかく迷信はよくないものだし、神話、とくに日本神話は危険なものだし、神秘主義は戦わなくちゃならないものだし、歴史には科学的な法則があるし、日本的なシステムはいけないものだし、そういうものすべてを撲滅するた...
(河合)…… だから仏教的な世界観とか仏教的なものの見方とは、近代科学を乗り越えるという点で、非常に役に立っているのではないか。しかも、心のことを科学的に、と呼べるかどうかわかりませんが、いちおう「心」を科学的に考える場...
(河合)…… 一つ先を言うてしまうと、僕がめちゃくちゃ感激したのは、イスラム思想研究学者の井筒俊彦さんの仕事です。井筒さんが『華厳経』に関する講演のなかで「無自性」について述べておられる。本来の「私」なんていうものはない...
(河合)…… それからもう一つの要因は、いわゆる近代科学そのものも、もう変わっていかないといけない、と最近だんだん気がつき出したことです。変わっていかなければならないのに、文科系の人たちが「科学的」と呼ぶときは、近代科学...
…… そして数学科へ行ったらみんな理科系ばっかりじゃないですか。(中沢)当たり前ですけども、そこなんですね。問題が生まれてくるのは。(河合)そう。そこでまたみんなが「おかしいなあ」という話をし始めるんです。文科系の人は、...
(河合)きょうは「仏教と科学」です。(中沢)こうして対談を長くつづけてきたいまでも、お目にかかるたびに、科学の問題を取り上げたいと河合先生はおっしゃる。科学に対する先生の執念に、僕はむしろ打たれます(笑)。いったいどうい...
(中沢)じゃ、ひょっとしたら、七福神のあの大黒様というのは人の金を背負って(笑)、不幸を一心に背負って歩いているから大黒様なのかもしれないですね。河合先生が大黒様に(笑)。(河合)そう。そういうのを考えているんだけど、な...
(河合)もういっぺんちゃんと幸福論を考えなきゃいかんですね。(中沢)日本人の幸福論って、ヒルティとかカントとかヨーロッパの幸福論を輸入してきてやってきました。最近はあまり読まなくなって……。(河合)僕はアランなんか読んで...
(中沢)この世界のなかに永遠を繰り込むことは絶対にできない。(河合)できない。(中沢)ところがキリスト教は永遠を繰り込んじゃうんだろうと思うんです。(河合)仏教的に言わせると、それは錯覚なんやけどね。 河合隼雄さんと中沢...
(中沢)貨幣というものが初めてつくられたとき、ギリシャ王のミダス王が、「貨幣(黄金)は大地を殺す」と言って怒ったそうです。(河合)ああ、それはそうです。まさに貨幣は大地を殺します。(中沢)大地を殺して何が残るかというと、...
(河合)ヨーロッパの人に僕が「あなた方、本当に本気では、一回限りの復活を信じられないでしょう。…… 河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』第5章<幸福の黄色い袈裟>の6番目の見出し、<貨幣と神は似ている>の書...
いつもは冒頭で『仏教が好き!』のなかの一節を引用するのですが、今回は趣を変えることにします。高市早苗政権が誕生し半月が経過しました。コーチングを語るにあたって、公明党が自民党との連立を離脱してからの「政局フィーバー」につ...
(中沢)…… 日本仏教というのは何かと言ったら、何千年、何万年来のアニミズム的な考え方と仏教の哲理が合体したときに、ようやく日本人が納得するものができた、それなんですね。そしてそういう仏教の考え方を取ると、安心が得られる...
(中沢)…… いちばんの典型は、浄土真宗じゃないでしょうか。御仏に対して御恩をいつも感じている。報恩の感覚ですね。「私たちがこうしているときも、御仏は私たちを見守って、いろんなものを与えてくれている。この御恩を感じ取れな...
(中沢)……「日本仏教」と言われているのはいったいどういうものかと言ったら、中国やインドから非常に高度な思想が入ってきたわけですが、高度な学問として追求される時代が長く続きました。でも、それでは日本仏教として根づきません...