単純化したがる…「視点」によって「対象のあり方」は変わってくるのに
(中沢)最近では『コーラン』ではなくて『クルアーン』と言った方がいいのかな。イスラム教の聖典『クルアーン』を読んでいると、天理教のご教祖の中山みきさんが神様から言葉を受けたときとか、大本教の出口ナオさんとか黒住教の黒住宗...
(中沢)最近では『コーラン』ではなくて『クルアーン』と言った方がいいのかな。イスラム教の聖典『クルアーン』を読んでいると、天理教のご教祖の中山みきさんが神様から言葉を受けたときとか、大本教の出口ナオさんとか黒住教の黒住宗...
(河合)それを読んで目幸さんと話したんです。僕がいちばん感激したところは梵天勧請のところで、「ブッダは自分の知ったことを人に言う気がなかった」、あそこにいちばん感激しましたね。梵天に言われてブッダは悟りの内容をとうとう言...
(中沢)しかしそれもワーグナーを頂点として、旧大陸では解体現象をおこし始めます。そして、新大陸へ渡ったプロテスタント原理は、巨大な帝国としての別の発達を遂げるようになった。何かの補償作用がおこっています。それがアメリカを...
(中沢)それ以前はバロック建築やバロック彫刻として、神話は確実に視覚のなかに生きていた。それと同じようにプロテスタント諸国でそこから発展が始まっていく音楽というのは、神話の性質を持っていて……。(河合)音楽史を考える上に...
(中沢)僕はイスラム教がけっこう好きです。素朴で単純なものを愛するアジア人の体質を感じますから。イスラム教の寺院へ入っていくと、非常にすっきりしています。(河合)そうですよね。偶像が一切ありませんから。(中沢)ヒンドゥー...
(中沢)ブッダは「自分の前に七人のブッダがいた」ということをしきりに言いました。この七人のブッダたちは誰かと言えば、サキャ族というちっちゃい部族国家の伝統のなかに、悟りを開いた知恵のある人びとが自分の前にも七人いた。だか...
(河合)いやあ、よくわかります。さっきのモンゴルの話も面白いねえ。シャーマニズムが本当に巨大化して、こんな大きいやつがあるんだったなということでみんな急にそこでインパクトを受けてねえ。つまり、僕は人間は「俺がやった」と言...
(中沢)世界を分類したり、秩序づけたりする思考が一方にあり、もう一方には秩序を突き動かしながら流動していくものに身をまかせていく忘我のトランスがあり、その二つはどちらも人間の心に最初からセットしてあったもので、この二つの...
(中沢)ユダヤ教は実はシャーマニズムに批判的なんですよ。シャーマン的なものをもともとあんまり認めていない。神と人間の間には契約があればいいと考えていた。シャーマニックな極はなるべく抑えようとしていました。代わりに思考の勝...
(河合)非常に困ったことは、いま世界を席巻している科学技術はキリスト教から出てきている。キリスト教がなかったら生まれてこないと思う。ここをどのように考えるかという非常にむずかしい問題が僕はあるように思うんです。…… 河合...
(中沢)レヴィ=ストロースは「野生の思考」というものを研究してきた文化人類学者です。未開社会の神話に完全に同化しきって研究を進めてきた人で、ことあるごとに、「自分は新石器時代人だ」とか「新石器人の思考を生き抜いているだけ...
(中沢)…… そして実際、どの宗教でも神秘主義の段階に入ると、神と人との非対称性は消滅に向かおうとします。井筒先生たちは、宗教の未来というのを、この方向に切り開ことしていました。一神教でも多神教でもどっちでもいいんです。...
(中沢)涅槃に入ったときも弟子たちよりも動物のほうがたくさんやって来て悲しんでいる。仏教のまわりではいつも、こういう対称的な関係が前面に出てきます。人間と動物が対称的だなんて、いかにもそれは童話的というか、神話的な光景の...
(河合)僕らのやっている心理学のいちばん大事なことは、自我をちゃんと確立することではないかと思っていた頃は、キリスト教に関心があった。(中沢)『聖書』は大好きです。イエスという人についても、十字架につく前のガリラヤ時代の...
本論の冒頭、私は世界の現代的状況のうちにあって果たして異文化間の対話は可能であるか否かという問題を自らに提出しました。結局、この問題になんらの解答も与えないままに幕切れの時間になってしまいました。今ここにこの拙い話しを終...