『<心理療法コレクションⅢ>生と死の接点』の191ページから「ファンタジーの意味」が展開されます。河合隼雄さんは、『ユング自伝』の中の、牡牛の角をつけた老人が登場するユングが見た夢を紹介します。
ユングはこの老人にフィレモンという名をつけて、フィレモンとファンタジーの中で対話してみた。そうすると、フィレモンがいろいろと深い知恵のある発言をし、ユングは彼によって導かれるというように感じたのである。
こんなことを言うと馬鹿げたように思われるかもしれない。しかし、これは小説家が小説を書きすすんでゆくと作中の人物が勝手に動き出して、作者の思うように簡単に筋が運んでゆかない、と言うのと同様のことである。人間が深くファンタジーの世界に入ってゆくと、自分の意識を超えた存在に出会うのである。このような言い方が解りにくいと思われる人も、人間の心のなかにはどんな人でも、「老賢者」が住んでいるのだ、と同意されるかもしれない。(192ページ)
「元型」の一つである「老賢者」は魔術的な力を持ちます。それが「長老」と結びつくと負の影響が高まりますが、さすがに提唱者であるユングです。この「老賢者」を生かすすべをしっかりと記述しています。
ユングは心のなかの老賢者フィレモンと対話をかわして、多くの知恵を得た。このことは、ユングが素晴らしい晩年をおくり、静かな死を迎えたことと無縁ではないと思われる。彼は86歳で死んだのであるが、彼の著作のなかで主要とされるものは、すべて70歳をこえてからのものであるという事実に驚かされる。彼の獲得した知恵は、死に至るまで活発に働いていたのである。(193ページ)
コーチングは、基本的にコーチと対話を進めていくことです。ただし、セルフコーチングという言葉もあるように、自分自身の内部に存在するコーチと対話を進めていくのもコーチングの一分野です。
多くの人は小説家ではありませんから、内部に存在するコーチも、意識上の「自分」であり、その自分がコントロールすることで、都合のよい世界を自ら作ってしまうことも多いでしょう。つまり「防衛機制」をより固めていく「アンチ・セルフコーチング」となっているやもしれません。
ユングは無意識内に存在する「元型」という概念を提示しました。巨人であるユング、そして河合さんにはなかなかなれませんが、「セルフコーチングとは?」を真剣に考えていくと、その先に、おぼろげながらも「元型」がイメージされてきて、意義深いセルフコーチングができるようになるかもしれませんね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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