河合隼雄さんの『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』にある「影」についての記述を引用します。
多くの元型のうちで、その人の個人的な心的内容と関連性が深く、したがって理解しやすいものが、影である。影の内容は、簡単にいって、その個人の意識によって生きられなかった半面、その個人が容認しがたいとしている心的内容であり、それは文字どおり、その人の暗い影の部分をなしている。(86ページ)
しかし、このような影があってこそ、われわれ人間に、生きた人間としての味が生じるのであって、ユングも「生きた形態は、塑像として見えるためには深い影を必要とする。影がなくては、それは平板な幻影にすぎない」と述べている。(87ページ)
『ユング心理学入門』は、全7章で構成され、第三章「個人的無意識と普遍的無意識」のなかで、元型を概説しています。CBLコーチング情報局では、ユングが象徴化させた元型を7つ紹介しています。河合さんは、そのなかの「影(シャドウ)」にもっともウエイトを置いて記述しています。
影はつねに悪とは限らない。確かに、この人の場合であれば、行動的に生きることや、感情のおもむくままに生きることは、ばかげて見えたり、嫌だったりしたであろうが、それはむしろ、今後、自分の中に取り上げられ、生きてゆかねばならない面と考えられる。つまり、今までそのひととしては否定的に見てきた生き方や考え方のなかに、肯定的なものを認め、それを意識のなかに同化してゆく努力がなされねばならないのである。(91ページ)
ユング心理学は「夢分析」を重視します。引用は、25歳の男性の夢から、その「影」を解明しています。合理的な考えを持つこの男性は、情に流され無駄骨を折っているばかりの兄の夢を見ます。夢の中で反社会的なことをした兄は逮捕されるのですが、時は武士の時代のようで、兄は拘引されるより、切腹を希望します。それを「社会的通念」と受けとめる男性も「当然のことだ」との認識です。
ところが夢の最後になると、兄に向かって「死なないで!」と叫ぶのですね。
河合さんはこの夢について、「社会的通念である切腹をよしとし、軽蔑を込めて笑っていた彼が、ここでは自分の感情に従って、社会通念を破って行動をする。このようにして、彼は自分の影の死を救ったのである。そして、『生きているかぎり話し合える!』と叫んだことも意義深い」と語ります。そして…
自分で今まで気づいていなかった、欠点や否定的な面を知り、それに直面して、そのなかに肯定的なものを見出し、生きてゆこうとする過程は、予想外に苦しいものである。影への自我の統合といっても、実際にするとなると、なかなか容易ではない。(91ページ)
さて、「影と自我の統合=自己一致」は、カウンセリングだけの世界にとどまるものではなく、すべての人が抱える人生の課題です。コーチングのコーチは、そのテーマに向かって、クライアントと伴走するパートナーであることを最後にお伝えしておきましょう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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