河合隼雄さんは『<心理療法コレクションⅡ>カウンセリングの実際』の中で、カウンセラーを音楽の指揮者に似ていると指摘します。まさにコーチングのコーチも同様であることが腑に落ちてきますね。
私はカウンセラーというのは音楽の指揮者に似ている点があると思います。つまり、メロディーだけを聴いていない。メロディーから低音までの全部の音がそのまま聴こえているのです。われわれ素人が聞いていると、メロディーだけに注意して他の音を聞いていない。ところが、実際はメロディー以外の音が鳴っているからすばらしいわけで、オーケストラの指揮者は、その全部の音をそのまま聴いているわけです。(125ページ)
モーツァルトは複雑な多重音楽でも、1~2回聴いただけで、すべての音を採譜することが出来た、と言われます。さまざまの分野において、独創的なプロフェッショナルは存在します。カウンセラーとしての頂点にある河合さんは、他分野のプロを引き合いに、カウンセリングを語ります。プロ同士がつながっています。
全部の音を高鳴らすといっても、われわれの口はひとつです。それだから、一度にふたつのことは言えない。たとえば、「私は会いたくないけれど会おうと思います」と言うのと、「会おうと思っていますが会いたくない」と言えば、もう違います。一番本当は、ふたつのことを同時に言うことだと思います。しかし、これはできないことです。実際、われわれが心の高まりを、ひとつのことで表現することは非常にむずかしい。(126ページ)
本当のプロフェッショナルとは… を考えると、最終的にソクラテスの「無知の知」にいき着くような気がします。河合さんは「理想」を描き、そこに向かっていこうと思索を深めます。それが困難極まりないことも自覚し、それでも「二律背反の統合」を究めようと悪戦苦闘されるのですね。
しかし、われわれが、カウンセラーという専門の職業を選ぶ限り、他の人よりそれができるようにならねばならないと思います。自分の心に高鳴った音を、一つの言葉で他の人よりも効果的に表現する方法を、われわれは身につけなければならない。そう言いますと、それならカウンセラーは口が上手だったらいいのかと思われるかもしれませんが、それは、むしろ口が上手ということでなく、それだけの高まりを本当に感じた者こそが言える、言葉を出せるということです。(126ページ)
河合さんは「相補性」を語ります。最後はユンギアンとしての矜持が伝わってきました。河合さんはカウンセラーとしての専門職を語っていますが、私たちコーチも、一字一句すべての言葉をそのまま受けとめようと思います。
クライアントがメロディーを奏するときは、カウンセラーは低音部をうけもち、あるいは言葉でメロディーを表すときは身ぶりは低音を奏して、クライアントとカウンセラーの関係のなかで、ひとつのハーモニーを作りあげる努力をはらわねばなりません。(127ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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