河合隼雄さんによる、『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』の「こころ」についての解説で、「適応」に触れています。
われわれ人間が、この世の中に適応して生きてゆくためには、外的な環境に対して適切な態度をとってゆかねばならない。外的環境はつねにわれわれに、そのような態度をとることを要求している。つまり、父親は父親らしく、教師は教師らしく、子どもは子供らしく、ある種の期待される行動に合わせて生きてゆかねばならない。(中略)
しかしながら、これらの外的に見えやすく、理解しやすい外界に対する適応の問題に対して、筆者は、自分の内界に対する適応の問題も無視できないと考えている。(215ページ)
河合さんは、このあと日本人留学生の例を挙げます。
日本人には珍しくアメリカ人のなかに溶け込んで生活しているひとがあった。風俗習慣の非常に異なるアメリカ社会のなかに入り込んでゆくことは、少なくとも筆者の留学した当時においては、日本人にとって真に困難なことであった。このため、一般の日本人留学生は、アメリカ人たちとのびのびと交際してゆくこの日本人を羨しく、ときにはねたましくさえ感じたものである。ところが、このひとがある日、筆者のところに相談に現われ、原因不明の慢性下痢に悩んでいることを告げたのである。(216ページ)
河合さんは、「彼と非常によく似た型の他の留学生が、あいついでやって来て、慢性の消化不良に悩んでいることを打ち明けた」ことに驚きます。ここから、河合さんは「外的適応」と「内的適応」について、つぎのように分析します。
このことは、彼らが外的環境に適応しようとしすぎて、自分の内にある「こころ」との接触を失いそうになったといえないだろうか。この例に示されるように、人間は外的適応を誤って神経症になるのみならず、内的適応をおろそかにしても、神経症に悩まねばならない。(216ページ)
これまでとは異なる新しい環境に遭遇した場合、多くの人は「適応」に苦労します。その場合「外的な環境変化」への「適応」に成功したと、わかりやすく見える場合でも、わかりにくい内的な適応に失敗していることがある(本人も気づくことなく)、と河合さんは指摘するのです。
CBLコーチング情報局では、この「外的」と「内的」の両面における適応について、「自己認識」の視点で解説しています。さらに、「あるがままの自分」という言葉の意味を深めることで、「自己基盤」の重要性を説いてきました。
ユング派心理学者である河合さんは、ユングの「元型」によって、「こころ」の様相を捉えます。
ユングは、われわれは外界に対してのみならず、内的世界に対しても適切な態度をとらねばならないとし、それらの元型として存在する根本態度を考え、外界に対するものをペルソナ、内界に対するものをアニマ、と呼んだ。ここにいうアニマがユングにとっては、こころと同義語である。つまり、元型として無意識内に存在する自分自身の内的な心的過程に対処する様式、内的根本態度を「こころ」と考えるのである。(217ページ)
「外的世界と内的世界」…さまざまな視点で捉えられることが理解できます。アプローチの方法は違っていても、つながっていることが伝わってきますね。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.