コンプレックスについては、フロイト、アドラー、そして前回の「言語連想検査」によってコンプレックスの存在を見出したユングなど、臨床心理学者にとっての重要なテーマとなっています。コンプレックスは「防衛機制」を発動させます。フロイトはその内容を、いくつかのタイプに分けて整理しました。その中の一つに「投影」があります。
河合隼雄さんは『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』のなかで、代表的な防衛機制について語りを進めます。その一つである「投影」を取り上げてみましょう。投影(projection)機制とは「自分の内部にあるコンプレックスを認知することを避け、それを外部の何かに投影し、外的なものとして認知する」ことです。
実際、「人間は皆、ズルイものですよ」と主張するひとが、非常にズルイひとであったり、「人間というものは結局薄情なものですよ」と嘆くひと自身、あまり親切なひととはいえないような場合が非常に多い。そして、これらの場合、「人間」とか、「ひとというものは」という一般的な呼称のなかに、いっているひと自身が含まれていないような感じがあるのも面白いことである。自分を除いておいて、ひとは皆ズルイ、などというのは、投影の機制が働いていることを如実に示している。(51ページ)
「あるある」が伝わってきます。少し異なる視点ですが、よく「人から聞いた話ですが」とか、「自分ではありませんが」と、話している内容が、「その人自身」のことだと、気づかれていることは多いものです。
フロイトは防衛機制を、昇華や補償を除き、ネガティブに捉えます。河合さんは少し違っているようです。
ある一人の目上の人をいつも恐ろしいと感じていたが、そのひとが実は親切な、やさしい面をもっていることを体験したとする。その場合、この現実を認める目をこのひとがもっているとき、「おやっ」と思うに相違ない。そして、このひとは今まで恐ろしいと思っていた感情が現実に即していないこと、つまりはそのようなものが自分のコンプレックスに根ざしていたことを悟るのである。これを投影のひきもどし(withdrawal of projection)というが、われわれは投影を生きることにしりごみせず、同時に現象を観察して取り入れてゆく態度をもつならば、自分にとって悪と見えていた人の行動のなかにそれとは違ったものを見出すに相違なく、このとき投影のひきもどしが行われるのである。(53ページ)
コンプレックスは全ての人が抱えているといってもよいでしょう。「人の成長・成熟」とは、コンプレックスから逃げるのではなく、つらいながらも認め、受容し、河合さんの言う「ひきもどし」に向かって、自問自答の対話を重ねる過程だといえそうです。
コーチングのコーチは、クライアントとの真摯な対話を通じて、クライアント自らがコンプレックスの在りかを見つけることをサポートする存在です。
コーチとしての自己基盤を確立していくために、私たちコーチも、自らのコンプレックスとの対話を深めていく必要がありそうですね。
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