渋沢栄一の本質、「調和の哲学」とは?

渋沢栄一は『論語と算盤』の中で、「異質の調和」が極めて困難であろう宗教についても、言を尽くしています。「論語」は宗教の教義とは異なるものですが、その「論語」と「キリスト教」を比較しながら、次のように語るのです。

キリスト教の説く「愛」と、『論語』の教えである「仁」とは、ほとんど一致しているのではないだろうか。ただし、そこにも「自分からする」と「他人からされる」という違いはある。たとえばキリスト教の方では、
「自分がしてほしいことを、人にもしなさい」
と教えているが、孔子は、
「自分がしてほしくないことは、他人にもしない」
と反対に説いている。だから一見義務ばかりで、権利の考え方が無いように見えるわけだ。しかし義務と権利とは対照的に見えても、結局は一致するという指摘もある。だからわたしは、キリストと孔子が目指したものも最終的には一致するのであろうと考えている。

さらにわたし自身は、宗教やその教義としては、キリスト教の方がよいかもしれないが、人間を守る道としては孔子の教えの方がよいと思っている。これはわたし独自の考え方かもしれないが、孔子の方が高く信頼できる点として、奇蹟が一つもないことがある。キリストにせよ釈迦にせよ、奇蹟がたくさんある。キリストが磔にされてから三日後に蘇生したというのは、明らかに奇蹟ではないか。… 

「知と実践の統合」を希求するリアリスト渋沢栄一の面目躍如たる論及です。
『論語と算盤』や、渋沢栄一が残したさまざまの言葉を探求していくと、渋沢栄一の中に、「対立概念、相容れない価値観とされるものにも、結節できるところはある!」「白か黒かではなく、両者の美点を探しそれをすくいとることで、新たな価値は生まれる!」という強い想いがあることを感じます。「調和」の哲学です。

渋沢栄一を語る際に「日本資本主義の父」という呼称が定着しています。ただし、「渋沢栄一記念財団 渋沢史料館」の井上潤館長が「彼自身の中では企業経営と社会事業との間に区別がなかったのだと思います。むしろ企業経営も社会事業の一環だと思っていたのではないでしょうか」と語るように、渋沢栄一が実現しようとした世界は、「格差のない社会・みんなが幸せに暮らせる社会」だったのです。

私たちは、目的と手段を混同しがちです。そこで、「日本資本主義の父」の呼称を補完すべく、「社会事業も包摂する新たな資本主義の創造に邁進した哲人」、という尊称を提唱することで今回のキーワード解説を終えることにします。


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