『銀河鉄道の夜』は「インクルーシブ」、『銀河鉄道999』は「おかあちゃん」
(河合)…… 僕は、『銀河鉄道の夜』を読んで面白いのは、はじめ、母と息子の物語として出発するんですね。だから、ある意味では、ずっと母性が底流にあるんです。あるんだけれども、チェロのような声をした男の声が聞こえてくるって。...
(河合)…… 僕は、『銀河鉄道の夜』を読んで面白いのは、はじめ、母と息子の物語として出発するんですね。だから、ある意味では、ずっと母性が底流にあるんです。あるんだけれども、チェロのような声をした男の声が聞こえてくるって。...
(河合)やっぱり自然科学というのは、単純な分類をすると、父性でしょう。父親的な切る力がなかったらできないですからね。母親からも自立できるし、自分は物事をすっきりわかっているんだという、賢治という人は、日本人には珍しく、父...
(中沢)恐るべき生命力。あれを論理の中に必死に抑え込んでいって、しかも、一貫してますね。いつも矛盾したものを同一物として見ていく。それを外側から包摂していく自覚の視点を持っていた。それが西田の場合は、善だとか仏教だとか言...
(中沢)『土神ときつね(狐の漢字を充てている版もあります)』を見ても、この土神の嫉妬の激しさは、これはやっぱり自分の中にそういうものを抱えている人でないと、ここまでの表現はできない。自分の頭の上で跳びはねている狐に対して...
……ですから。これらのなかには、あなたのためになるところもあるでしょうし、ただそれっきりのところもあるでしょうが、わたくしには、そのみわけがよくつきません。なんのことだか、わけのわからないところもあるでしょうが、そんなと...
(中沢)アングロサクソンって、犯罪にかけては天才的でしょう。(中略)それでいざ見つかった時には、「私はたしかに人殺しが好きなんです」って。切り裂きジャックとか、ああいうセンスがあるんです。賢治の「署長さん」は、今のイギリ...
(河合)僕の大好きなのは、『毒もみのすきな署長さん』。(中沢)ああ。あれは危ない話です。とくに今は(笑)。(河合)僕は兄弟が多いのですが、皆この作品を好きになって、家じゅうで、何かあると、いや「毒もみはやめられん」とか言...
(中沢)実際に動物を殺して食べなきゃならないということを賢治はそんなに否定していないんですよね。猟師の人生に共感を持って……。(河合)『なめとこ山の熊』とか。(中略)(河合)それも頭から、なぜ熊を殺すのかっていう態度でヴ...
…… は44行存在します、続く最後の9行を以下引用します。…… 率直に述べようと思う。総ての生物はみな無量の劫の昔から流転に流転を重ねて来た。流転の段階は大きく分けて九つある。われらはまのあたり二つを見る。一つのたましい...
(中沢)だから、賢治って、そういう意味で言うと、非常に倫理的で潔白な人だけども、自分は努力してそうなろうとしている。あの人、生命力が溢れている人ですから、性欲にしたって、必死で頑張っていると思うんです。ただ、そうじゃない...
(河合)ほんとですね。だいたい、『ビヂテリアン大祭』は「異教徒」という席があって、反対論を述べる。しかもその論者が理路整然と話す人とか、非常に感情的な人とか、うまくね。僕、大学生の時にこれを読んだんですけど、すっごい感動...
(河合)僕は宮沢賢治の『ビヂテリアン大祭』(以下宮沢賢治の作品はちくま文庫)というのはね、読んだ時から大好きだったんです。今度アメリカへ行った時、今からする話をしてやろうかなと僕は思っている。というのは、僕らの仲間に、ヴ...
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談を収めた『ブッダの夢』を読み込み、コーチングの解説を続けています。前回まで、その第1章「仏教と癒し」にある7つの見出しを順番に取り上げ語ってきました。ここまでのお二人の語り合いを振り返ると...
(中沢)ヨーロッパの場合は、神という普遍から見る。神が私たちを見ています。だから自分がやっていることを神が見ている視点と、自分が世界を見ている視点との調停点を探るような生き方をしていると正しい生き方ができるというのが、カ...
(河合)……つまり、そのことを直接には表現できないので、この線を無限にたどればそこに行きつくというような、方向と運動を与えるような言葉の使い方はできないだろうか。そういう言語の使用法というのは全く違いますね。精神分析にお...