「羨ましい」という感情は一種の方向指示盤としての役割をもっている

河合隼雄さんのエッセイ集である『こころの処方箋』の48番目のタイトルは、「羨ましかったら何かやってみる」です。

河合さんの55ほど集めたこのエッセイ集は、基本的にすべて「クライマックス法」の流れです。最後に私たちの心にストンと腹落ちする結論に向かって、徐々に内容が固められていきます。今回の解説は、最初に、このエッセイで河合さんが語る「起承転結」の「結」を引用するところから、始めてみましょう。

ここに簡単に書いてしまったことは、実際にやり抜くのはなかなか大変なときもある。しかし、「羨ましい」感情が強いとき、自分のなかに何かが未だ注目されずに棄てられているはずだと思って、探してみたり、いろいろ試してみたりするのは、それほど悪くはない。そのためにエネルギーを消費する方が、他人に愚痴をまき散らしたり、他人の足を引っ張るためにエネルギーを使うよりは少しはましだと思われる。

河合さんは「羨ましい」を、「物にしろ能力にしろ、ともかく自分が持っていないものを他人が持っている、というところに生じてくる感情である」、と捉えた上で、「自分の持っていないものを他人が持っているときに“必ず”生じるとは限らない」と、その不思議を指摘します。

羨ましいというのは、他人が何か自分の持っていないものを持っているという事実にプラスされるXがないと生じない、ということがわかる。それは何なのだろうか。

推理小説のようにこのエッセイは展開していきます。
Jリーガーになりたい。プロ野球選手となって、大好きな野球を職業にしたい、と努力を重ねる少年時代を経験する人は多いと思います。その過程で、能力にそれほど違いがないと感じている他者に、それでも自分はそのレベルに届かない、という思いを抱え、嫉妬し、「羨ましい」と感じることは多いでしょう。ところが、大谷選手に嫉妬を感じることはないでしょうし、そこにはリスペクト以外の感情は生じないと思われます。つまり、「自分が欲しいもの+α」の存在が「X」ではないか、と多くの人が推察すると思います。

河合さんもそのことを否定していませんが、臨床心理学者の河合さんは、対象や分野を同じくする、わかりやすい「X」だけでなく、本人の気づいていない「未開発な可能性」の方に注目します。

ある個人にとって、やらねばならぬことややれることは山ほどあるはずである。そのなかで「羨ましい」という感情は、どの「方向」に自分にとっての可能性が向かっているのかという一種の方向指示盤としての役割をもって出現してきているのである。そして、はじめは困難や苦痛を伴うにしろ、自分が発見したことをやり抜いてゆくと、ある程度経てば、その面白さもわかってくるし、その頃には「羨ましい」感情も弱くなってきているのがわかるだろう。

圧倒的に多くの人は、Jリーガーやプロ野球選手にはなっていません。それでも多くの人が自分にフィットする職業を見つけ、磨いているうちに、面白さを感じるようになり、さらに成長していく実感が持てるようになります。
「何だかよくわからなかったが、その根底に“羨ましい”という感情があって、そこに導かれて今があるんだなぁ~」と、振り返ることができそうです。

コーチングはその振り返りを、「偶然」に気づくことが出来た、というのではなく、その「方向指示器」をクライアントとコーチが対話を重ねながら、見つけていくことだと言えます。時間をかけて、自らが気づくことも、もちろん素晴らしいことですが、コーチングは、濃縮されて時間のなかで、タイムパフォーマンスとして、その気づきが浮かび上がってきます。河合さんのエッセイにインスピレーションを得て、コーチングの価値を改めてお伝えしたことで、今回の解説を終えることにしましょう。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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