河合隼雄さんの『大人の友情』の11番目のテーマは、「友情と贈りもの」です。この第2話のエッセイは「贈りものの多様性」がタイトルです。その冒頭で、クライアントが河合さんのフィードバックによって、「気づき」を得るシーンが描かれます。「何かにつけて人間関係がうまくいかない」、とそのクライアントは嘆きます。裕福なクライアントは、友人にいろいろ贈りものをするのですが…
それで友人たちに好かれているかというと、どうもかえって関係がもつれるようなところがある、というのである。いろいろな例を聞いていて私は最後に、「今お話を伺っていて、『別にお返しとか感謝を期待しているわけではありませんが』というのと、『だからと言って何も怒っているのじゃないですよ』というのを繰り返しておっしゃるのが気になりましたが」と申し上げた。
「う~ん」とその人は考え込んだあげく、「私はやっぱり何かお返しを期待しているのでしょうか」と言った。
コーチングにはさまざまなスキルが存在します。その一つが「フィードバック」です。これは、コーチがクライアントの「鏡」のような存在となり、クライアントの言葉を含めた五感から伝わってくる「あり様」について、コーチが感じたことを「言語化」して返すことです。それは「ジャッジメント」ではありません。
河合さんの自然な(かつ見事な)フィードバックは、クライアントに「気づき」をもたらしました。この事例から、「贈りもの」が含有する、人間の心理に影響を与える要因について、河合さんは語りを進めます。
自分では意識していなくとも、贈りものによって、贈る者と贈られる者という対極が生じ、贈られる側がそこに「押しつけ」や、主従関係が入り込んでくるのを感じることもある。贈りものはもともと好意や愛情の表現なのだと言えるが、そこに思いがけない他の要素が入り交じってくるのが、人間の心理の難しさである。
河合さんがその人生で追い続けたテーマは、「欧米文化と日本の文化を対置させ、相対化させていくこと」でした。今回のエッセイでも、それが表れます。日本には、欧米とは違った「贈りもの文化」が存在していると、河合さんは考えているようです。神と一対一の契約を結ぶキリスト教の世界観は「個人主義」がベースにあり、そこには「対等」の理念が見て取れます。
「対等の友人関係」などという概念は、近代ヨーロッパの生み出してきたものであろう。われわれ日本人もその考えに従って生きているつもりだが、やはり日本的人間関係をある程度は引きずっているので、友人間の贈りものはますます難しくなるだろう。
次の第3話で河合さんは、日本の「お返し文化」について記述を進めます。第2話の最後を引用して、今回の解説を終えることにしましょう。
それに贈りものと言っても、それは「物」とは限らない。手紙、言葉、期待とか感謝とかの心のはたらき、あるいは後に論じるように「秘密」などというのもある。これらが入り交じる上に、贈りものの意味は極めて多義的なので、これが難しくなるのも当然と言えるだろう。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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