前回の解説で、「自己実現とは、つねに発展してやまぬ過程であり、これまで営々と築き上げてきた価値観をすて去ることを本人に迫ることがある」と、説明しました。
『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』の中で、河合隼雄さんは、それが迫られた時、「夢の中で自己も人格化されることがあり、このときは超人的な性格を持った姿をとる。つまり、男性にとっては老賢者(wise old man)、女性にとっては至高の女神の姿となって現れることがある」、と語ります。
われわれの自我が問題に直面し、あらゆる意識的な努力を続けても解決できず、絶望に陥りそうなときに、自己の働きが起こり、われわれは今までの段階とは異なった高次の解決を得ることを経験するのであるが、この老人の出現のしかたは、自己の働きの面を如実に示している。(中略)
東洋における仙人などは、まさにその典型であるが、芥川の『杜子春』の物語に現れる仙人などは、この好例であろう。あるいは、実在したかどうかも判然としない老子という人物像が、中国人、あるいは日本人の心のなかに重要な地位を占めていることは、老子という名のもとに、東洋人のもつ「老賢者」のイメージが、年とともに一つの人格像として形成されていったものと考えることもできる。(中略)
女性の場合は、地なる母の神や至高の愛の神としても現れる。シンデレラのお話で、シンデレラが舞踏会に行きたいと思っているのを助けてくれる洗礼親の仙女は、この典型である。この場合も主人公が困り果てたときに仙女が出現している。(261ページ)
ディズニー映画のシンデレラは、フランスの作家であるシャルル・ペローの原作がもとになっていますが、同様な物語は民間伝承として世界中に存在しています。
河合さんは「夢」についてさまざま語ります。本人にとっての自己実現が迫られているときとは、自分のなかの劣等な部分と直面しているときでもあるのです。過酷な状況であり、劣等を補償すべく統合させようとして、このような「補償夢」が現れることを河合さんは指摘しています。
「自己実現」は発展やまぬ過程です。人生の意義はその過程に見出すことができます。このような「夢」の出現によって何かを感じ、自問自答するうちに、将来へのプランのような意味づけをもつ「展望的な夢」として、現れることもあるでしょう。
相矛盾する葛藤の状態から、統合されていく感覚への移行…すなわち「自己実現」が実感できる…この過程は、まさに人それぞれです。
河合さんは「夢分析は理論としてオーソライズされているわけではない」、との前提を保ちつつ、世界の昔話や物語を引用しながらクライアントとのセッションを息づかせているように、コーチングセッションでも、自由に「夢語り」を盛り込んだりすることで、また新たな展開が見出されるかもしれませんね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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