『<心理療法コレクションⅥ>心理療法入門』のなかで、河合隼雄さんは、「物語」は「つなぐ」ことによって生まれてくることを語ります。
物語は、そもそも文と文を「つなぐ」ことによって出来上がる。これは多くの人の指摘していることである。「父親が死んだ」、「息子が旅に出た」という二つの文を、間に「悲しみのあまりに」というのを入れてつなぐと物語になる。したがって、一見無関係のように見える事象が、「つなぐ」ことによって「物語」になるし、その「つなぐ」行為によって、物語る人の主体が関わってくる。(99ページ)
「人はその人がつくる物語を生きている」と言われます。CBLコーチング情報局では、同様な主旨の言葉である「人間とは人生という脚本を演じている存在である」を取り上げ、さまざまな心理学者の視点を紹介しています。
河合さんの場合は、「物語」は近代科学の「記述」と対極をなす、と言う視点です。
上手に他人を操作して自分の思い通りに事を運ぶことは、ある程度可能である。しかし、人間「関係」ということが重要である場合はそうはゆかない。それは、近代科学の方法論を考えると明らかである。それは関係を切断した対象についてのみ有効な方法なのである。
このあたりのことが不明確な人びとは、「関係喪失」の病に陥ることが多い。子どもを自分の思いどおりの「よい子」にしようと親が努力すると、子どもが病むのは当然である。夫婦関係もそうである。相手を自分の思うように動かそうとする限り、両方は関係が切断され、戦うか別れるかのどちらかになってしまう。
「関係喪失」の病に悩んで来談する人があまりにも多いので、「つなぐ」役割を持つ「物語」ということが、現在の心理療法においては、ますます重要になる。夢によく出てくるパターンに、自分が嫌っている人からの贈り物をもらうというのがある。そんな場合、あんな奴に物をもらうはずがない、と夢を拒否してしまって、関係は切れたままになる。ところが夢の物語を尊重して、自分はその人間から「何か得るものがある」と考えてみると、思いがけないことに気づいて、その人との関係が成立する。(100ページ)
ユング心理学は「夢」を大切にします。人は「夢」によって、気づきを得ることができ、その人自身が変わっていくことができる、というのですね。上記引用は、まさにそのことを語っています。
今回のキーワード解説の最後に、「コーチングの母」であるロジャーズの言葉を引用しておきましょう。「自分が変わっていくことの素晴らしさ」を説く言葉です。(『ロジャーズ選集~厳選33論文(上)』)
しかし私の経験は逆説的なものである。この複雑な人生のなかで、ただ自分自身になろうとすればするほど、自分自身や他人の現実を理解し受容しようとすればするほど、それだけ変化が起こり出してくるように思われる。非常に逆説的なのであるが、誰でも進んで自分自身になろうとすればするほど、自分が変化するばかりでなく、自分と関係している人たちもまた変化していくのである。少なくともこれは私のもっとも生々しい経験であり、私の私生活や専門職の生活から学んだ最も深い経験である。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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