
父の講演を熱心に追いかけて、収集された編集者がおられるが、それでも漏らした講演があると思う。それほど細かい講演も多かった。余談だが、その数の多さに、糸井重里さんが戯れにギネスに申請してみたら、ナント通ってしまった。なのでうちには、あの有名なギネスの認定証があるのだ(本のすき間に、つっ込んであるけど)。
「戦後思想界の巨人」とリスペクトされる吉本隆明さんの長女で、漫画家のハルノ宵子さん執筆の『隆明だもの』を取り上げ、コーチングを語っています。引用は、「幻の機械」というタイトルのエッセイの一節です。前回は、その始まりのパラグラフのみを引用し、すぐに生成AI(Copilot)との協働作業に移行しました。生成AIは最後に、「そして、その変化をもっとも丁寧に記述しているのが、ハルノ宵子さんの文章なのです。」と、まとめてくれています。今回は。ハルノさんのコメントを追いかけつつ、語ってみようと思います。
ハルノさんは、「溺れた夏は、父の人生の“分水嶺”だった」と、指摘します。「それまでは、“往き”の仕事だったが、その後は“還り”の仕事にシフトしていった」と。「あの夏を境に、目と脚が急速に悪くなっていった。糖尿病の合併症の末梢神経障害なのだが……」と、父親の身体の変化を詳述します。
このコメントは納得です。膨大な仕事を残された吉本隆明さんですが、筆者が読んだのは、圧倒的に“還り”の作品が多いのです。理由は明快! とても読みやすいから。
書くことができないので、聞き書きによる語り言葉になることによって、これまでのように、特定のマニアックな読者だけでなく、広範囲の読み手にも、理解が及ぶような表現になった。父はこれまで構築してきた思想をベースに、旅の僧侶のように、易しく遍(あまね)く考えを説く人になったのだ。「吉本は終わった」なんて言われたが(これまでも、何度も勝手に終わらされてるし)、人間生きてる限り、仕事は続くのだ……とも。生きていくのが仕事なのだともいえる。
ハルノさんの哲学も「さらり」と挿入されています。
それでもこのオヤジ、ただでは終わらない。常に脳内では、思考(夢想)が枝を伸ばし、深く根を広げ、珍妙なことを思いついた。……
「珍妙なこと」とは何か? 「05、06年の頃のことだった」と、ハルノさんは振り返ります。
当時足しげく吉本家を訪れていたコンピューター関係の仕事もやっていたK氏と、ああだこうだと、知恵を巡らせた結果、「すべての日本語は,10個のキーだけで入力が可能である」という理論(?)が誕生するのです。K氏は、いくつかの具体的なキーボードの図面も作成したようです。ハルノさんは、「まゆつば」が伝わってくる“書きっぷり”ですが(笑)。
K氏は、事業家気質(?)も持ち合わせている人物だったので、ガンちゃん(筆者註 : 吉本家の舎弟と紹介されています)と私とK氏の3人で、この入力システムを専売とした、会社を作ってしまおう。という話が出た。私とガンちゃんは、「まぁまぁ、ちょっと待て! とにかくキーボードだけでいいから、実体のあるものを触らせてみてくれ」「現物をいじってみんことにゃ~あっしらのようなアホにはチンプンカンプンでっさ」と、かわしていた。それは事実だ。現物を触ってみなければ、これは便利だ! とも、こりゃかえって大変だとも、何とも感想も意見も言えない。
ここからほぼ1ページにわたって、吉本隆明さんが、この理論の実装を期待し、どう振る舞ったかが語られます。
父はK氏に50万円を渡した。K氏は時々報告に現れた。やはり本業の合間にやるので、なかなか進まないとのことだった。(中略)気がつけば、K氏に50万円を渡してから、2年が経っていた。
「この50万円はいつの間にか無くなっていた」のですね。
私は「50万返すか、現物を作るか、どっちかにしろ」と、K氏を責めたが、父は「イヤ、男が仕事をしながら他のことをやるってのは、たいへんなことなんだ」と、K氏をかばった。K氏も「絶対やります!」と言うので、父はまたK氏に50万円渡した。「おい! そりゃ右の頬を打たれたら、己のケツを出すレベルだろ!」とは思ったが、黙って従った。K氏は、それっきりフェードアウトした。父も、この4年後に去った。
このままエッセイが終わってしまうと、「K氏は詐欺師なのか…」と思われるかもしれませんね。この話にはオチがあります。
しかし、K氏の名誉のために言っておくが、K氏は父の死後ひょっこり現れ、50万円を返してくれた。その心意気だけで十分だ。
20年前の話です。生成AIが驚異的に進化している現在を知ってしまうと、実に牧歌的な風景ですね。筆者は、吉本隆明さんの「真(まこと)なるお人柄が伝わってくるとてもいいお話だなぁ…」と、ジーンときています。「戦後思想界の巨人、ここにあり!」ですね(笑)。
当該エッセイの最後の一行を引用し、今回の「コーチング大百科」を終えることにします。
実物を見てみたい気もするが、幻のまま忘れ去られた方が、いいような気もする。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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