「戦後思想界の巨人」には物欲、所有欲が無かった!

前回に続き、小関直さんの話から始まるが、小関さんが妻へ残した最後の言葉が、「もう一度『最後の親鸞』をちゃんと読めよ」だったそうだ。
「これまでありがとう」でも、「子供たちと仲良くな」でもなく、「それか~い‼」と、小関妻とあきれ果てた。どんだけの“吉本愛”なんだ。

「戦後思想界の巨人」とリスペクトされる吉本隆明さんの長女で、漫画家のハルノ宵子さん執筆の『隆明だもの』を引用しつつ、「コーチング大百科」を綴ってきました。振り返ると、30ほど回数を重ねています。その最初のタイトルは、<『隆明だもの』は、「家族の信実」が顕現した別格の書!>(2026年2月20日)です。

冒頭の引用にあるように、今回もハルノさんが小関直さんを語ります。タイトルは<手放す人>。続きモノなので、ぜひとも前回の一片の追悼にも、目を通してみてください。吉本隆明さんと編集者の小関さんとのとてもとても親密な関係性が伝わってきますから。
「コーチング大百科」は1000話に近づいています。ベースは、日本(一部は翻訳ですが海外作品も)で出版されている著作を取り上げ(多すぎて数えきれないほど…)、コーチングの本質が理解できるよう、語ってきました。

『隆明だもの』は、その前のなるほどの対話(河合隼雄さんと吉本ばななさんとの深~い対話)を語っているときから、「次は『隆明だもの』だ!」と決めていたので、途中2回ほど、スピンオフ的に紹介しています。

『隆明だもの』は、ガールズトークがさく裂している(失礼!)>(2026年1月6日)と<『隆明だもの』の書評を、生成AIとのコラボレーションでつくってみた!>(同年1月7日)です。

生成AIは、傑出した表現者である二人の姉妹を次のように象徴化させています。

吉本ばななさんが「物語の魔術師」だとすれば、 ハルノ宵子さんは“観察と記述の鬼”です。ばななさんは、感情の流れを物語化する、読者の心に寄り添う、「癒し」や「再生」を描く。一方で、ハルノ宵子さんは、感情を一切甘やかさない、事実を事実として突きつける、家族の“生々しさ”をそのまま書く、しかし残酷ではなく、むしろ透明。

今回も、その透明な“観察と記述の鬼”ぶりが、小関さんが大切に保管していた、隆明さんの膨大な生原稿(遺品を整理していた小関妻が発見)を巡って、ものの見事に顕われます。

小関妻も私も、興味もヤル気も無い人間なので、原稿はまだ小関家に保留のまま、内容も精査していない。悪辣な2人なので、「ナマ原ヤフオクで売っ払って、パーッと世界一周でも行くか(イヤ…せいぜい日本一周だろうが)なーんて言っているが、それをやったら“稀代の鬼娘”として名が残りそうなので、(とりあえず)やめておく。

偽悪ぶっているハルノさんのこの言葉は、父親のことを知り抜いているからこそのコメントなんですね。

しかし父は、「いいよいいよ、かまわないよ」と、思っていることは分かっている。父は書き終えて、出版社に渡した原稿は、基本返却無用だった。「いいですよ持っといてください。いらなかったら、うっちゃって(捨てちゃって)ください」という、担当編集者とのやり取りは、何度も聞いている。

「戦後思想界の巨人、ここにあり!」ですね。

ハルノさんは、某有名編集者(Y氏)が、村上春樹氏の生原稿を売っ払ってしまったという事件(?)に触れます。

編集者Yさんは重い病気だった。きっとご家族も、お金が必要だったのだろう。父は「金に困った時は、そんなのかまわねぇんだよ」と言っていた。

ここで、世界的作家となった妹のばななさんを叱ったエピソードが挿入されます。

しかしうちの妹には、「作家にとって、生原稿をアカの他人に見られるっていうのは、裸を見られる位恥ずかしいことんだよ!」と叱られて、「イヤ~そうか~そういう考え方もあるんだな」と、(多少は)反省していたようだが。

現在は、ほとんどの文筆家がパソコン入力でしょうから、編集者のフィードバックを踏まえた書き手の試行錯誤の跡は、存在しないのが通常です(消去される)。そして、完成版は、デジタル化されることにより、データとしてどこかに保存される。
一方で生原稿(文字通り生々しい)は、年を経るうちに、その多くが紛失するか廃棄されるか…でしょう。

今回の最後に、思想家であり文筆家である“父親の生きざま”を語るところを引用し、次回も<手放す人>について、書いてみようと思います。

自分が死に代が替われば、すべては失われる。書き終えた時点で、役目は終了。その時の自分の身体と精神を手放していったのだと思う。一切の執着はない。自分の原稿を後生大事に、“お蔵”に保存しておくようなタイプではないのだ。父には物欲、所有欲が無かった。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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