
『なるほどの対話』は3章構成です。第1章(9~132ページ)は15の見出し、第3章(153~298ページ)は14の見出しが挟まれています。ところが第2章(133~152ページ)は… 対談ではなく「往復書簡」なのですね。ばななさんが河合さんに25の質問をし、河合さんが答えます。それが終わると、攻守処を変え、河合さんがばななさんに8つ質問して、ばななさんが答える、という内容になっているのです。
さて、ここまで第1章の、一つひとつの「見出し」の対話を深く読み込み、コーチングに敷衍してきました。今回取り上げるのは、最後となる15番目の「この時代を生きる」(7ページの分量)です。掉尾を飾るためにも、どこを引用すればよいか…悩みます。考えた末、1ページを超える長い語り(ばななさん)を抜粋することにします。
編集者が、ばななさんの「言葉」を一つの区切りにし、章を終えた理由が理解できるからです。河合さんは、「対談を終えて~純粋さに惹かれて」の中で、次のコメントをばななさんに献じています。
ひとことで言うと、私は吉本さんの純粋さに惹かれたのだ。まっすぐに深くて純粋である。こんな人は実に珍しい。深くなると、どうしても濁ったり、曲がったりするものだが、この素晴らしい純粋さは、ばななさんの父上の隆明さんから受け継がれたものかな、と思う。吉本隆明さんとも対談させていただいたことがあるが、やはり、この感じは似ていると思う。……
その「素晴らしい純粋さ」は、第1章の最後に顕現しています。もっとも当時、時代の寵児であった作家のばななさんは、たくさんのインタビューや対談を要請され、それに応えています。ばななさんは、もちろん真面目に臨んでいる。それでも…「でも、対談というものに慣れてしまっているから時間をもたせて字数を言うことはできるけれど、一冊の本にするのだったら嘘をひとつも言わないで全身全霊でやってみようと」と、同書の最初(対話のはじまり)で語っています。微妙な言い回しです(笑)。
二人の人間がお互いに言葉を交わし合うと「会話」が成り立ちます。ただ、この「コーチング大百科」で、「会話と対話は異なる」ことを繰り返し語ってきました。ですから同書のタイトルは「会話」ではなく『なるほどの対話』です。
「対話の達人」である河合さんには「多くの人との対話本」が、たくさん存在します。筆者は、そのほとんどを読んでいます。ただし大概の内容は、出版社などから要請され、セッティングされた「対話」であるようです。つまり、河合さん自らが望んでの対話は少ないように感じます。
河合さんは、この『なるほどの対話』の前に、ばななさんと一度対談しています。そのときのばななさんの印象が、鮮烈だったのでしょう。河合さんが「ぜひとも吉本ばななさんと対談したい」と希望し、できあがったのが、同書なのですね。二人の優れた話者が相まみれたとき、「対話」は珠玉の光としての輝きを増し、豊かな艶を帯びてきます。ケミストリーです。
第1章最後のばななさんの言葉を…といいながら、前フリが長くなってしまいました(苦笑)。それでは、掉尾を飾るべく、引用することにします。
(吉本)
よく、たとえて言うのですが、山小屋みたいなところに登山に来て一泊した人が、そこにある私の本を見つけて読んでくれる。表紙なんか擦り切れていて、誰が書いたのかわからないけど思わず夢中で読んでしまって、「けっこういいものを読んだなあ」となる。その人は翌日、本のことは忘れて、また旅に出るのだけど、夕焼けを見たときなどに、「あれ、これ、本で読んだんだっけ、自分で体験したんだっけ」とか、「あのときに、確か本で読んだなあ」というふうに、その人のなかにちょっとだけ、でも深く残るものが書きたいんですね。(中略)困った人や苦しい人にも向けて書きたい。そういう人たちが読んで、ちょっと気持ちが楽になるものを。いつもいつも、自分が苦しかったものだから、そう考えますね。「社会を変えていこう」と声高に言うのは私の仕事じゃないから、そっちには行かないんですけれど。でも、あんまり真面目に考えすぎると疲れちゃうから、適当に、自分も楽しく、生活のなかでは手も抜いて。でも小説は、もっときちんと書いていきたいと思っています。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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