（河合）
本当にそうです。だから、それを割と意識して自分で面白い儀式をやっている人もいるけど、知らずにやってしまったらすごく近所迷惑でしょう？ その人が命をかけてやるからね。かと言って難しいんだけれども、ある程度はむちゃくちゃやらんと儀式にならないしね。
（鷲田）
ゾクッとくるものでなかったら、ですね。
前回に引き続き、『臨床とことば』の第3章にある2つ目の見出し「現代社会の成人儀礼」を取り上げてみます。
河合さんは、「成人儀礼を失った現代社会の様相」を独自の視点で切り取ります。昔は、痛みを伴う「儀式」が存在した。現代は、外形的なわかりやすい「儀式」は失われたが、「儀式」そのものは「必要」であり、程度の差はあるものの、若者は何らかの「儀式」を試みている、という捉え方です。河合さんは臨床心理学者なので、その実践経験から、暴走族と援助交際を話題にしています。
さて、冒頭に引用した河合さんの視点に、鷲田さんの「ゾクッ」という言葉が飛び出しました。鷲田さん固有の感覚であり、評価としての視点です。対話は熱を帯びてきます。
河合さんは「臨床」に携わる専門家としての「本質」を語ります。
（鷲田）
自傷行為などもそうですね。要するに、自分をギリギリのところまで追い詰める……。それはある意味では、自分を求める絶望的な努力とも言えますよね。
（河合）
それは絶対にある。皆そうです。だから、その努力を違うほうに向けるために、僕らはすごい努力をしているわけです。
（鷲田）
なるほど。
（河合）
だから、ぼくらがやっているのは、自傷行為で切っていた人が切るのをやめたとか、援助交際していた人が交際しなくなりましたとか、ということじゃないんですね。それの背後にあるものの意味をどう考えながら生きるかということを援助しているわけですよ。そしたら、そういう命をかけた儀式は結果的に要らなくなりますからね。
（鷲田）
でも、そのときに、先生のような臨床をやっておられるお立場としては、それをたとえば「こういうことがある」というように具体的に教えられるようなことは、全然ないですよね。
（河合）
ないです。自分で気づくまで待たないとしようがないです。
（鷲田）
そのときに、最初に言われた「ワーッすごい」と感心するというのは、自分で気づこうとしている人を応援しているわけですか。
（河合）
やっぱり待っているだけですね。それと、生命に何とか別状がないようにと考えますよね。……
河合さんは、ここから1ページ半にわたって、言葉の一つひとつが「命に直結する対話」である「カウンセリングの臨床」を語ります。すべて引用したいところですが、あえて止めておきます。読者の皆さんは、「河合さんは何を語っているのだろうか…」と、五感を総動員し想像してみてください。私たちプロコーチは、改めて河合さんの「待つ哲学」を噛みしめ、「コーチングセッションとは何か？」を考え続けていこうと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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