
<承前>
私が京都の下宿を引き払って、家に戻って来て間もない頃だ。漫画の賞を取って、担当編集者が付いたからと言って、まだ全然学生気分のままだった。その時妹は、ちょうど大学受験を控えていた。今思えば、本当に配慮の無いアホ姉だったと思うが、まだ遊び足りない気分に任せて、夜な夜な妹を連れ出し、自転車2人乗りで散歩に行ったり、深夜ファミレスに入り浸ったりしていた。
吉本隆明さんの長女で、漫画家のハルノ宵子さん執筆の『隆明だもの』に収録されているエッセイ<悪いとこしか似ていない>を取り上げています。
前回は、最後で次のようにコメントし、今回がその続きであることを予告しています。
妹のばななさんから「……って、お父ちゃんが言ってたよ」と、姉ハルノさんのふるまいを、驚天動地(ハルノさんの受けとめ方)で解釈されてしまっているのですね。ということで、次回も<承前>とさせていただきます。
引用は、父親の隆明さんに驚天動地の解釈をさせてしまった「ハルノさんのふるまい」なのですが、父親が直接自分に「……」と言わないで、あえてばななさんに「……」と言ったことに、ハルノさんは大ショックを受けているのですね。仮に私が2人の父親だった場合、「受験を控えているのだから、妹をあまり連れ出さないように」と、諫めたと思います。そして「受験勉強のストレスもあって、お前(ハルノさん)に誘われると、嫌がるわけでなく、むしろ声がかかるのを待っている風情かもしれんが…」と、付け足したかもしれません。
少し引っぱりましたが、「……」とは次の言葉です。冒頭の引用の続きです。
するとある時妹から、「お姉ちゃんは妹に、自分よりいい大学に入られるのがイヤだから、嫉妬して(勉強できないよう)連れまわしてんだから気を付けろって、お父ちゃんが言ってたよ」と、聞いたのだ。
驚愕した。ええ~っ!? それこそ目の前が真っ暗になった。本当に私は、それこそ1ミリも! 微塵も! 無意識下にも、その考えは無かったからだ。確かにまったく考えナシの、浮かれ気分の大甘だったとは反省するが、妹が自分よりいい大学(って、そもそも何だ?)に行かれるのがイヤ…なんて考えは、逆さ吊りにして100回振っても、ほこりも出ない。
『隆明だもの』は、長女ハルノさんの視点で書かれています。この後、ハルノさんが父親に異議申し立てをしたのか? 妹のばななさんは姉が私を夜な夜な連れまわしていたことを、どう感じていたのか? その「感じ方」をその時姉のハルノさんは妹に訊いたのか? そのあたりのことは書かれていないので、ハルノさんの“大ショック”は、ものすごく理解できる(共感レベルです)ものの、隆明さんとばななさんの視点に立ったシチュエーションも、考えてみたくなりました。
ハルノさんは、父隆明さんの「飛躍した思考」に反発しつつ、だから大思想家である背景(根拠)をその「飛躍」に求めています。
7歳年上の姉が大学受験を控えている妹を夜な夜な連れ出す。普通(?)の感情を持っていれば、そんな非常識な行動はとらない。そこには「何か訳」があるはずだ…本人も気づいていない理由が…?
思想家は、その「なぜ?」の解明に挑みます。隆明さんは「あらゆる人間の奥底に潜んでいる“嫉妬”という感情」に分け入ります。それがわかりやすく表れる人も多いですが、ハルノさんについては、「かわいい娘」という感覚は一旦脇に置いて、相対化させた思考の延長に像が結ばれたのが“嫉妬”であると。
ばななさんの方は…というと、「“嫉妬”に基づく行動であるとお父ちゃんが感じている」、とハルノさんに告げたのは、かなり時間がたってからと類推できます。ハルノさんに、すぐに言ってもよいはずなのに……
吉本ばななは、後に大作家となる人物です。小さい時から「作家になる」と決めていたばななさんですから、これまた姉のことを相対化させ、観察していたのかもしれませんね(笑)。
さて、このように「深読み」したうえで、最後に、“当時の”ハルノさんの“真実の姿”を想像してみようと思います。
7歳下の妹と一緒に遊ぶことが何にも増して愉しい。だから「何も考えていない天然」だった(笑)。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.


