河合隼雄さんの『大人の友情』の23話は、6番目のテーマである、「つきあい」は難しい、の完結編となる「つながり」の多様性、です。
前話の「つきあいはうっとうしい」で終わってしまうと、「つきあい」はネガティブという結論になります。河合さんのエッセイの持ち味である、「どのような境遇にあっても、なぜかホンワカしてくる…」という読後感のセオリーから外れてしまう内容(?)とも見て取れます。したがって、それを「うっちゃる」話が展開されそうです。
さて、みなさんは「つながり」の多様性、というタイトルの“多様性”を、どのようにイメージされるでしょうか? エッセイの書き出しを、引用してみましょう。
ある老夫婦の妻が死亡した。夫の気持ちは沈んで、何をする気もない。子どもたちは自分たちの家に来て同居することをすすめたが同意しない。このままでは衰弱死するのでは、と子供たちは心配したが…
この老人は、ふとしたことから「石磨き」をはじめます。手ごろな石をひたすら磨いていると、思いがけない立派な置物ができます。彼は、息子や孫にその石を見せて、ひとしきり自慢します。そのときには目は輝くし声にもハリが生まれます。
河合さんは冒頭で、「石磨き」を「つながりの“多様性”」の一つとして紹介しました。そして…
このような「もの」ではなく、ペットが友人になることも多い。ペットは世話が大変なので、ペットと「もの」の中間のような、ぬいぐるみに名前をつけて、生きているもののようにして友人づきあいをしている人もいる。家へ帰っても一人、というのと、ちゃんと誰かが待ってくれている(実はぬいぐるみなのだが)というのとは大違いである。
河合さんの“多様性”を語る像が結ばれてきました。そして後半につながっていきます。
松の木、あるいは土、石、お天道さん、それに「神」というのも入ってくるだろう。それらとの「つきあい」に加えて、人間とのつきあいがあると思うと、うっとうしさは大分減じてくる。人間以外のこれらとの「つきあい」が確固としてくると、やたらに他人に頼らなくてもいいと言える。
河合さんは、人間とは別の、さまざまな“多様性”に満ちた「つきあい」によって、うっとうしい人間との「つきあい」が減じてくる、という結論を、このエッセイで描きたいのかな? …と速断するのは禁物です。
しかし、そちらの方に入れ込みすぎると、人間世界での生き方がうまくゆかなくなるので要注意、と言わねばならないだろう。
「仕事ばかりではなく、趣味を持った方がいいですよ」、という「言い方」は人口に膾炙しています。臨床心理学者の河合さんは、その「一般説」を、補強しようとしているのではないようです。河合さんの視点は、常に「人間そのもの」を捉えています。
「私は会計士です」、「私は××会社に勤めています」、「私は父親です」、「私は少年サッカーの指導をしています」など、社会的役割によって、それ相応の「つきあい」が求められることを、河合さんは指摘します。CBLコーチング情報局で以前解説した、元型の一つである「ペルソナ」を被ることを、社会は要請してきますから。
河合さんがこのエッセイで言いたかったことは…「あの人がいる」と想うだけで、ほっとできるような関係こそが「友情」の根本だろう… と筆者は受けとめたことをお伝えして、今回の解説を終えることにしましょう。
それらに疲れるのではなく、多様性を楽しむことができるようになるためには、それぞれのつきあいの距離を上手にとっていく必要がある。それらのなかで、お互いの距離についての調節や操作にそれほど気をつかうことなく、相手と共にいる、あるいは、「あの人がいる」と想うだけで、ほっとできるような関係がひとつでもあれば、その他のつきあいは楽になるだろう。そして、そのような関係こそ友情と言えるものの根本ではなかろうか。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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