『<心理療法コレクションⅣ>心理療法序説』の87ページから、河合さんは次のように記述を進めていきます。
大人は一般に「指導」するのが好きである。「指導」によって人間が簡単によくなるのなら、自分自身を指導することからはじめるとよい、と思うが、それをせずに、子どもの指導をしたがるのだから、ナンセンスである。
しかし、指導をしたがる気持ちは非常によくわかる。そうすると、「指導する者」と「指導される者」という区別が明確になり、その上、指導の効果が上がると指導者がよかったことになるし、指導される者がなかなか指導に従わないときは、「せっかく熱心に指導してやってるのに」、悪いのは生徒の方だということになって、教師の立場は安泰になるからである。これは外見的には「教育的」に見えるのだが、真の意味での教育と言えないのではなかろうか。(87ページ)
表意文字としての日本語はなかなか奥深いですね。「指導」と「教育」を混同している人も多いかもしれません。「指導」は、「指示しそして導く」というニュアンスが含まれるので、「教育」とは別モノである(“育”には自動詞である“育つ”の意味もある)と、河合さんは説明しています。
河合さんはここから動物と植物のメタファーを用いて、「教育」を紐解いていきます。
教育というときに、動物を訓練し、しつけるというイメージと、植物を育てるというイメージと両方がある。どちらも大切なのだが、一般に植物イメージで考えることの方は忘れられがちのように思われる。土壌と太陽の光とがあれば、植物は自分の力で育ってくる。このときに、人間は植物の芽をひっぱったり、つぼみを無理に開いてみたりしてはならない。ここで、土壌や太陽に相当するのが、教師あるいは親などの、その周囲に存在する暖かい、待つ心である。これは迂路のように見えて、結局は一番の近道なのである。熱心に教育しようとする人によって、芽をつみとられたり、つぼみを台なしにされてしまったような子どもの例を、われわれは数多く見てきたのである。(87ページ)
動物の生態に詳しい専門家から聞いた話です。同じ動物でも、犬と猫では全く違うと言います。ペット愛好家でも「犬派」と「猫派」が存在するように、ペットの性格と飼い主には相関が見られるのかもしれませんね。
犬は集団で暮らす動物ですから、飼い主をリーダーとして認識します。したがって、しっかりと躾を行ない、リーダーとして…つまり一貫した態度で犬に接することによって、犬は安心感を抱くことができるようです。主従関係となることが必要なのですね。
一方で猫は異なります。単独で暮らす動物ですから、躾をあまり必要としません。ただ飼い主は、猫の行動に表れるサインを読み取ることが大切だ、と言われます。放任ながらも、「ちゃんと君のことを見ているよ」というイメージですね。
余談になりました。河合さんは「動物」と「植物」をコントラストとして捉えていますが、「動物」のダイバーシティについて、少々解説してみました。
河合さんは、「教育」に含まれる「教える」ということの重要性も説いています。ただ、「教えたがる」という人の傾向を教育者は理解し、相対化していくことが求められるということですね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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