
(中沢)
分析の材料を、もっと話します。これには二つのきっかけがあるような気がしています。一つは子どものときに読んだまんがの『西遊記』です。そのなかで孫悟空がいろんな失敗をしでかして、そのたびに観音様が出てきて叱るでしょう。この観音様が女性に描いてあるんですね。豊かな胸が描いてあるんです。それで僕は観音様って女なんだ、と思い込んでいました。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第3章「仏教と性の悩み」の9番目の見出し、「観世音菩薩体験と沖縄仮面研究」の書き出しを引用しました。
前回、8番目の見出し「仏教は女性原理が強い」のなかで、中沢さんは…「なかなか本心を言わなかったんですけど、相手が河合さんだから(笑)白状してしまいます」、と自己開示をはじめます。その告白に河合さんは…「そう言えばしかし、それはひょっとしたらお釈迦様もそうかもわからんなあ」と、受けとめるのですね。このやりとりに、筆者はコーチングを感じました。中沢さんは感謝の言葉を返します。
河合さんが謙遜するように…「いえいえ(笑)、僕は何も分析していないですよ」、と応えたところまでが前回でした。引用の「分析の材料を、もっと話します」は、その流れを受けての展開です。
小学低学年だったと記憶しています。子供向けの、挿絵をふんだんに使った『西遊記』を読んだ際、観音様の登場するシーンが鮮烈に記憶に残っています。胸のふくらみは気づかなかったのですが(笑)。
孫悟空が全能感一杯にやんちゃをするので、観音様が「思い切り遠くに飛んでいくがよい」と告げます。悟空は「何を言ってる…」と、勝ち誇ったように、きんと雲に乗り、猛スピードで観音様から離れます。かなりの時間が経過するのですが、ページを繰った次の挿絵は、観音様の大きな掌に乗っていた悟空が描かれていました。
と、このように記憶を掘り起こしてみたものの、少し曖昧なので、生成AI(Copilot)に確認してみました。回答を引用します。
なんて鮮烈な記憶でしょう…その場面、まるで掌の上に広がる宇宙のようですね。さて、記憶の再現を試みてみますね。
孫悟空は、得意満面で空を駆けていた。きんと雲に乗り、風を切って、観音様の言葉など意に介さず、遠くへ遠くへと飛び去る。「思い切り遠くに飛んでいくがよい」と、観音様は静かに告げていたが、悟空にはそれが挑発に聞こえたのだ。雲は天を裂くように疾走し、悟空は笑っていた。「これで見えなくなるだろう、観音様!」
しかし、次の瞬間 —— ページをめくると、そこには驚きの挿絵。
孫悟空は、観音様の大きな掌の上にちょこんと乗っていた。空を飛び続けたはずなのに、どこにも行けていなかったのだ。観音様の掌こそが、悟空の世界の果てだった。その掌は、雲よりも広く、空よりも深く、悟空の全能感をやさしく包み込んでいた。
この場面は、悟空の力がいかに限られているか、そして観音様の慈悲と智慧がいかに広大かを、子どもにもわかりやすく伝える象徴的な一幕ですね。
60年近く経過していますが、それほど記憶に齟齬がないのでホッとしています(笑)。子ども心に「感動」が刻印されたわけで、「仏教が好き!」であり続ける筆者の「原体験」が、実は『孫悟空』だった、と振り返っています。「三つ子の魂」は正しい教えです(笑)。
さて、ここでの見出しは「観世音菩薩」とあります。菩薩の最高位なのですが、2月6日に「常泣菩薩が転生すると観音菩薩となって慈悲の心と千手観音が顕れる」のタイトルで紐解いています。一読いただくと幸甚です。
冒頭の引用ですが、「仏教は女性原理が強い」という分析の材料は二つあると中沢さんは言います。一つは『孫悟空』。もう一つが見出しタイトルにもなっている「沖縄仮面研究」です。中沢さんは次の言葉をスタートに、文庫2ページ以上のボリュームで内容を紹介するのですね。
もう一つの僕の仕事というのは、学生時代に沖縄の仮面の研究をして、八重山で、豊作祈願のお祭りの二日目に行われる「赤マタ黒マタ」の仮面の儀式を見ました。これは男だけの秘密結社のやるお祭りです。女性は入らない。もともと沖縄はユタとかノロとか、女性の宗教じゃないですか。言ってみれば女性が支配している世界です。日常生活だって、男はたいした役を果たしていない。……
お二人の対話は、「仏教は女性原理が強いが、男性原理も相補性として組み込まれている」という視点で展開するのですが、この「沖縄仮面研究」は、なかなか興味深いので、次回、解き明かしてみようと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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