コーチングのキーワード、そして臨床心理学を構成する概念については、数多く取り上げてきました。「自我」というワードも頻出しています。ただし、「意識」「無意識」「気づく」などについては、詳しく解説していますが、「自我」については、「わかったもの」として、特に説明することなく、使ってきたと思い返しています。今回は、その「自我」について、詳述することにします。
『<心理療法コレクションⅡ>カウンセリングの実際』の第三章「心の構造」の第一節は「自我」から始まります。河合さんは次のようにアプローチしていきます。
もし机を見ても何をするものか分からなくなったり、机と椅子との関係が分からなくなるとたいへんです。そういう知識が単なる知識としてあるだけでなく、私は、そういうことを知っているし、感じるし、また、私がそれにもとづいて何かをしようとすることができる。たとえば、本を読もうとすると読むことができる。歩こうと思えば歩くことができる。そういうまとまったものが一つの主体性をもっているといえる。その場合、一応心理学的な言葉として、「自我」ということばを使いますが、そういう「私」という人間がひとつのまとまりをもって動いているその中心、主体を一応「自我」と呼んでいます。
「自我」ということばは、学者によって使い方が違うので、厳密にいうといろいろなことをいわねばなりませんが、今は、一応前述のように簡単に割りきっていってしまいます。(61ページ)
河合さんには、さまざまな書き物が存在します。ベースは臨床心理学者であり研究者です。したがって多くの学術論文、研究書も発表されています。それらを読むと、「難解な内容にもかかわらず、すこぶるわかりやすく説明されている」という実感が得られます。
広辞苑の「自我」を紐解いてみましょう。
①認識・感情・意志・行為の主体を外界や他人と区別して言う語。②㋐意識や行動の主体を指す概念。㋑精神分析の用語。イドから発する衝動を、外界の現実や良心の統制に従わせるような働きをする、パーソナリティーまたは人格の側面。エゴ。
いかがでしょうか。辞書は、その言葉の意味がわからないとき、わかりたいという動機によってページが繰られます。広辞苑でも自我は「?」が点滅しそうです。それに比べて河合さんは、しっかりと腹落ちさせてくれますね。ちなみに②㋑はフロイトが提示した概念です。
さて河合さんは、この「自我」を構成する専門用語を4つ挙げています。
主体性
冒頭の引用ですでに説明されています。ここで河合さんは、「ある程度の主体性」という言い方で「完全ではない」と指摘します。私たちはときに、「言い間違いが起こる」「し間違いを起こす」わけで、最初から主体的に失敗を起こそうとはしていないということなのです。
同一性
「私という自我は、きのうの私と今日の私は同一である」と、説明したうえで、これも実は「ある程度」と付記します。
自分と他者の区別
私とあなたは違う、私と外界とは違うという区別を自我はもっている、ということです。
統合性
自我はある程度の統合性をもっている。つまり、自我のなかにあまり矛盾がないようになっている、ということです。
河合さんは、「もっと他の特徴が出せるかもしれませんが、私としてはこの四つを考えました」と、述べた後、次の点を強調しています。
非常に大切なことは主体性、同一性、他者との区別、統合性ということすべて「ある程度の」がつくことです。絶対的なものではありません。ところで、そういう自我をわれわれはもっている。その自我がひとりぼっちであるのではなくて、自我をとりまく環境下にある。つまり、自分の肉親、兄弟、勤め先、自分の家すべてのいろいろな外的なもののなかに自我というものがある。そこに心理学でいわれる「適応」の問題が生じてきます。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.