
本論の冒頭、私は世界の現代的状況のうちにあって果たして異文化間の対話は可能であるか否かという問題を自らに提出しました。結局、この問題になんらの解答も与えないままに幕切れの時間になってしまいました。今ここにこの拙い話しを終えるにあたり、多少言い訳めいてひびくかも知れませんけれど、もともと私の本当の意図は、異文化間の対話の可能性を論じるところにはなくて、むしろそのようなことを大問題とせざるを得ない現代の言語理論の動向にたいし、対話というものについてそれとは全然違った別のアプローチがあり得るし、また現にあることを指摘するところにあったということを申し上げておきたいと思います。
井筒俊彦さんの『意識と本質』の「対話と非対話~禅問答についての一考察」取り上げ、コーチングを語る16回目です。
残り3ページのところを引用しています。井筒さんによる講演の総括です。1977年にイランの首都イラクでのシンポジウムに登壇した井筒さんの英語講演が原典です。その講演を井筒さん自らが日本語に翻訳し、『意識と本質』の掉尾を飾るべく収められています(全32 ページ)。
「やっとここまでたどり着くことができた…」との感慨を抱き、当該箇所を引用しています。この「CBLコーチング情報局~コーチング大百科」は、「コーチングの対話」を語ることであり、井筒さんがこの講演で中心テーマとして取り上げている「禅問答の対話」が、果して「コーチングの対話」とつながるのか…と、書き始めは、少し不安を覚えていました。ですが、こうして回を重ねてきて、間違っていなかったことを確信しています。
最終ページを引用します。「禅」そして「禅問答」の修道(修行の道)に、「対話」のとても深い本質が見出せます。
……言語については、意味分節機能にこそ第一の重点が置かれなければならない、否定的な意味においても肯定的な意味においても。これが言語にたいする禅の根本的態度です。否定的意味においては、言語の意味分節的機能は、あらかじめきちんと分節された認識形態のシステムを押しつけることによって、我々の心に「現実」の歪んだ形象を生みつける。言語の分節機能のこの否定的な影響力が先ず何よりも第一に取り除かれなければならない。それが完全に払拭されたとき、その上で、第二段階として、我々の言語行為が今度は肯定的積極的に、非言語が具体的な言葉として自己を分節していく形而上的プロセスとして自覚されなければならない、ということです。
最後の最後、『意識と本質』と「コーチング」の結節を試みます。
「肯定的積極的に、非言語が具体的な言葉として自己を分節していく形而上的プロセスとして自覚される」ことを意図してつくられた(筆者の視点ですが…)「国際コーチング連盟(ICF)」のコアコンピテンシーを引用して、16回ほど重ねてきた『意識と本質』の「対話と非対話~禅問答についての一考察」を終えようと思います。
井筒俊彦さんの問い「世界の現代的状況のうちにあって果たして異文化間の対話は可能であるか否か」に対して、ICFの設立そのものに「可能性が見出される」と、筆者は回答します。世界にはさまざまな宗教が存在します。その固有な「宗教」としての視点を超えて、世界を結節することができるのはコーチングである…その「信念」が、ICFの基盤に存在することを強く実感しています。
ICF CORE COMPETENCY~ICFが定めるプロコーチの能力水準
01.倫理に基づいた行動をしていることを示している
Demonstrates Ethical Practice
定義:コーチングの倫理とコーチングとしてあるべき基準を理解し、常に適用している
02.コーチングマインドを体現している
Embodies a Coaching Mindset
定義:開放的で、好奇心を持ち、柔軟性があり、クライアントを中心に据えた、思考態度を開発し、維持している
03.合意の確立と維持
Establishes and Maintains Agreements
定義:コーチングの関係、プロセス、計画および目標に関して明確に合意するために、クライアントおよび関連する利害関係者と協力している。コーチング全体についての合意だけでなく、各コーチングセッションについても合意を確立している
04.信頼と安全を育む
Cultivates Trust and Safety
定義:クライアントとパートナー関係を築き、クライアントが自由に話せる安全で支援的な環境を創り出している。相互に尊重し信頼する関係を維持している
05.今ここに在り続ける
Maintains Presence
定義:開放的で柔軟で安定的で自信に溢れる態度を以って、クライアントに対して感覚をフルに開き、今ここに共に在り続けている
06.積極的傾聴
Listens Actively
定義:クライアントの状況を理解して流れを読み取り、それまでのやりとりをすべて踏まえて、クライアントの自己表現を支援するために、クライアントが何を話し何を話していないかに集中している
07.気づきを引き起こす
Evokes Awareness
定義:人を動かす質問、沈黙、比喩や類推などのツールやテクニックを用いて、クライアントの洞察と学習を促進している
08.クライアントの成長を促進する
Facilitates Client Growth
定義:学びと洞察を行動に変容させるためにクライアントと協力し合っている。コーチングの過程の中で、クライアントの自律性を促進している
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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