河合隼雄さんの『大人の友情』の5話目から、12の大きなカテゴリーで構成された2番目の「友情を支えるもの」に移行します。その5話目のタイトルは「賢い人には友がいない」です。その話題に入る前に、河合さんは次のような「前フリ」を添えています。
友情の説明などできない。ある人が友人であるのはなぜかと問われたら、「彼が彼であること」としか言えない、という考え方がある。これは確かに大切なことだ。とやかく言うより「その人まるごと」好きなのである。これは友人の説明として、大したものだと思う。しかし、そんなに言っていても、二人がけんか別れすることだって少なくはない。「彼が彼であること」を素晴らしい理由であると是認した上で、やはり、友情を支えるものが何かを分析してみるのも意味があるようだ。
河合さんのベースは「臨床心理学者」です。その学問の帳を開いたのは、フロイトであり、アドラーであり、そしてユングです。彼らは「深層心理学者」とも呼称されます。つまり「無意識」という、もっとも言葉にし難い「概念」を、何とか解明しようと「分析」し、「言葉」による説明を開始します。
当初は、その「言葉たち」は“トンデモ理論”として批判されています。ただし彼らは、社会の、そのようなバッシングにもめげることなく、繰り返し「言葉」を用い、科学の視点を取り込みながら、発表し続けます。その過程を経て、「なるほど…」「納得できる」という共感の輪として広がり、100年を経た今日、「心理学の巨星」として、世界の人々からリスペクトされる存在となっているのです。
「言語化」は、とても重要な「言葉」です。コーチングも対話を通じて、クライアントがなかなか「言語化できない概念」を、「言語化」していくプロセスといえるでしょう。「言語化」できた瞬間は、クライアントが「気づきを得た!」と言い換えることもできそうですね。
河合さんの晩年は、文化庁長官も務められ、多忙を極めていたと思います。文学的な雰囲気も漂う「友情という関係性の分析(もちろん学問的ではなく)」が晩年のテーマであったことに、“河合さんらしさ”を感じるのは、私だけではないと確信しています。
さて5話目の「賢い人には友がない」は、次の言葉からはじまります。
これは日本の古い諺である。意味はわかりやすい。ここでいう「賢い人」はいわゆる「計算の早い人」を意味している。それと「批判の目が鋭い」ということもあろう。そういう人に友人がいないのは、その本人が友人など不要と思っていることもあるし、他の人たちも近づいてゆかない、ということもある。
「古い諺」を使う河合さんの匠を感じます。あくまでも「どうしてそういう“諺”が生まれたのか?」という分析にとどめているように感じます。
河合さんの「言葉」は、当該エッセイの最後で、この「賢い人」を上手に使って、私たちが腑に落ちる「概念の言語化」を実現してくれました。
日本語には「つきあい」という言葉がある。友人の買物とか趣味に関係することに、自分としてはあまり関心がないが、「つきあう」。あまり面白くないし、もちろん利益はない。賢い人ならやらない「つきあい」をすることで、友情が支えられる。
時には、「もうつきあい切れない!」と爆発して、友人関係も切れることがある。絶交、再交を繰り返し、「つきあい切れない」を連発しつつ、友情を継続している人たちもいる。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.