アドラーは100年前にSDGsの概念を提唱していた!?

アドラーは、人生の課題である「ライフタスク」について、5つを挙げ解説しています。その第一は「仕事のタスク」であり、一人の人間というより人類全体に視野を広げ、次のように語ります。

最初のやっかいなタスクは、職業のタスクである。私たちはこの惑星を犠牲にして生きている。この惑星が唯一の源なのだ。こうした状況のもとで問題に正しい答えを見つけることが人類の課題であった。どの時代でも、人類は一定のレベルの解決までは到達した。しかし、いつでもより以上に改善し、完成していくことが必要とされた。(『現代に生きるアドラー心理学』より) 

この発言からはSDGsが連想されます。地球規模、そして持続可能な開発(Sustainable Development)について言及しています。
アドラーは1937年に亡くなりました。今日では、地球環境問題こそが世界中に人々にとって、最もリアルに共有できる課題ですが、世界がこの環境問題を認識するようになったのは、ローマクラブが『成長の限界』を発表した1972年以降と言われています。

地球は太陽エネルギーの恩恵はあるものの、基本的には物質の出入りのない閉鎖系である。したがって、有限の物質を資源や燃料として使用する活動は、高エントロピーの廃熱や廃物を蓄積させることになる。資源やエネルギーの有効利用、環境汚染の防止など、エントロピーの増大を抑制することが、地球の存続にとって最重要な課題となる。

アドラーの思想は、環境問題に限らず、SDGsとの関連が強く見出せます。アドラーは、1926年の講演で次のように発言しました。

特定の性格が「男らしい」とされ、別の性格が「女らしい」とされますが、なにかしらの基本事実があってそう評価されているわけではありません。なぜなら、男児と女児の精神状態を比べ、こうした分類が確認できたように見えたとしても、当然の事実だということはできないからです。確認できたように見えるのは、その人がすでに特定の枠にはまり、力について偏った判断をして人生の幅を狭めているからです。力関係を信じる人たちは、その認識を育てていくしかなくなります。要するに、男らしい性格と女らしい性格の区別には、正当な理由はないのです。(『人間の本性 人間とはいったい何か』より)

アドラーは「男女同型」を前提として、そこから、女性と男性について語りを進めていきます。まさに「コーチングの父」としての姿が立ち上ってきますね。


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