「共感疲労」を回避するための大人の知恵が「ヤマアラシジレンマ」
(河合)それは何度も出てきますね。『アメリカ・インディアンの神話…ナバホの創生物語』(大修館書店)では、男と女が喧嘩して別れて住むというわけですよね。別れて住んでもとへ帰ってくるんだけど、ほんまにただもとに帰ってくるとい...
(河合)それは何度も出てきますね。『アメリカ・インディアンの神話…ナバホの創生物語』(大修館書店)では、男と女が喧嘩して別れて住むというわけですよね。別れて住んでもとへ帰ってくるんだけど、ほんまにただもとに帰ってくるとい...
(河合)このインディアンの話を読むと、夫婦喧嘩もなかなか面白いといって、男と女のすごい戦いがあるでしょう(笑)。(中沢)アメリカ・インディアンの神話が面白いところは、なにかの教訓があるからですよね。その教訓が、何ていうの...
「対称性人類学」とは、人間と自然、主体と客体、自己と他者といった二項対立を再考し、それらを対等で相互作用的な関係として捉え直す視点を提案する学問的アプローチです。中沢新一氏は、この考えを通じて、現代社会の分断や非対称性を...
(河合)ちょっと途中だけどね。日本のいわゆる学者というのは、イマジネーションが貧困すぎるんですよ。自分のイマジネーションを超えたらみんなフェイクと言ってる。(中沢)僕なんか終始一貫フェイクと言われ続けています(笑)。だか...
(中沢)世界中の神話を収集した本とかありますけど、僕は物足りないんです。というのは、そこに肉体性がないというのか、匂いがしないというか、土地の地形がわからなかったり、空の色がわからなかったりする。すると僕はなんかイライラ...
(河合)僕が行ったのは、東洋学研究のほうだから、むしろ心理学者じゃなくて、日本や東洋に関心のある人とかが来てたんです。すると、そこに来ている、非常に若い学生が質問してくる、僕の言ってることをよくわかっている。で、こんな若...
(中沢)…… 僕の考え方で言うと、宗教というのは、宗教として極点を登りつめたら、ナチュラル・ウィズダム(Natural Wisdom)みたいなものに向かって、自分を開いていくものだと思うのです。だから、宗教の体系とか哲学...
(中沢)仏教は、なんといっても外来宗教ですから、高度な文明圏からやってきてチベット人の土着の宗教を抑圧しちゃったわけですね。だから、ボン教徒と仏教徒の間には、今も感情的な軋轢があるんです。(中略)ボン教の中には、仏教のよ...
(河合)…… それが他の人に対しても意味のあるものとして提示できるという才能がなかったら芸術家になれないですね。やはり音楽や絵などの才能を持っていなかったらだめなわけでしょう。それを作品として表現できるテクニックを持って...
(中沢)こういう治療方法と、いわゆるフロイト流の言葉でやる療法との関係について、よく検討はされてるんですか。(河合)もちろん。だから、僕だったら、ある程度、言葉でやっててもこれに近いんです。つまり、あんまり解釈しませんか...
(河合)物語というのは、どうしても今言ったように、時間軸に展開していく必要がありますが、箱庭は、すっきりひとつの絵になっている。それをもし展開したら、お話になるわけです。しかし、箱庭全体の流れがありますからね。だから、こ...
(中沢)話はもどりますが、最初のころにつくった箱庭には、教会が出てきました。それについて河合先生は、やっぱり日本人には近代的な自我の確立にキリスト教の存在があったとおっしゃいました。たしかに日本人はそのことで、健康と病理...
(中沢)ヨーロッパ人みたいに、言葉での訓練を積んできた人間には治療も言葉でやることができるけれども、日本人にはそれはちょっとハードだなってことなんでしょうか。(河合)箱庭療法の技法は日本人に向いてたわけです。日本人は、だ...
(中沢)この箱庭療法はヨーロッパでの受け取り方はどうなんですか。(河合)今だんだん広がりつつあると思います。でもヨーロッパは言語の世界ですから、言語的に認識して、言語的な洞察を得て立ち直るというような、そういう心理療法の...
(河合)それでも、この箱庭が作られるまでに、一年ぐらい言葉で治療していますが、進まないという感じでした。(中沢)その前から、河合先生は箱庭療法を取り入れてたわけですか。(河合)実践してたけど、なぜかやっぱり、作ってくれと...