じぶんが浸りきっている存在の世界がじつは世界ではない…どういうこと?

じっさい、多くの家族や周囲の者は、「『呆けになっては困る』という焦燥感から、本人の言動が少しでもずれたり間違えたり失敗したりすると、間違いを細部にわたって指摘して修正を迫り、失敗しないように今までの生活の中での役割を取り上げて保護的になり、言動を管理し始める」。そして、「呆けゆく」ひとをますます受身にし、そのひとが何かを表出するそのきっかけを奪ってしまう。

医療の驚異的な進歩と生活環境の改善によって、私たちの平均余命はどんどん伸びています。何ごとにも表裏があるように、この恩恵には、必然的に「痴呆症患者」の増加を伴います。もっとも世界の医薬品メーカーは、その防止・改善効果をもたらす新薬の開発にしのぎを削っています(誕生しつつあります)。この「相補性」を帯びた世界こそが現代社会の実相ですね。

前回まで3回にわたって、『臨床とことば』第4章5番目の見出し、「<語る/聴く>のなかの共犯関係」を語ってきました。今回より、6番目の「語りのゆくえ」を取り上げ、コーチングの解説につなげてまいります。

冒頭の引用は、痴呆症患者のケアを行っている人にとって「身につまされる」内容が綴られています。一生懸命言葉を尽くしても、その言葉が相手には届かない… 人と人の関係性において、これほど辛い体験はないでしょう。
ただ、言葉を尽くすのではなく、痴呆症患者と一緒の世界に入り込んでみると、そこから「思わぬ世界」が広がることを、鷲田さんは「知り合いのナース」の事例によって、私たちに届けてくれました。

毎日、衣装箪笥の引き出しを順に開けては閉め、ぜんぶ開けたらまた最初に戻るということを延々とくりかえす女性の話である。横から何を言ってもやめないと、家族はこぼしている。その日、たまたまご機嫌うかがいに出向いたその孫の看護師の前で、「もう死ぬし、着物あげる」とまた引き出しを開けだした。その孫は、「もらうけどいまは家に箪笥ないから預かっといて」と答えたら、箪笥開けはそれを機にあっけなく止んだという。

どうしてこのようなことが起こるのか…?
鷲田さんは、一人語りであるこの第4章を書く前に行われた、河合隼雄さんとの対談(第2~3章)に啓発されたことで、この「語りのゆくえ」が書かれるに至った、と語ります。

相手が何か一つの世界に入りきっているときに、それを横から制したり諭したりするのではなく、逆に一緒にその世界に入り込むと、相手はふっと目覚め、浸りきっていた世界にすっと距離が取れるようになる……。まるで秘儀のように(これは文字どおりではないが、河合隼雄氏との語らいのなかでいただいたことばである)。

哲学者の鷲田さんは、ここで「哲学」が共有する一つのテーマ語っています。それは、「ひとは、じぶんが浸りきっている存在の世界がじつは世界ではないということに、どこで気づくのだろうか?」ということです。
筆者も興味を覚え、チャットGPTに次のように質問してみました。

ある哲学者が「ひとは、じぶんが浸りきっている存在の世界がじつは世界ではないということに、どこで気づくのだろうか」と語ります。これは「哲学」として深いテーマの一つだと感じたのですが、この内容について解説をお願いします。

さまざまな内容が返ってきました。チャットGPTはとても頭がいい(笑)。そのなかの2つの視点を以下に引用してみます。次回は、鷲田さんの視点について語ってみようと思います。

存在論的視点
存在論(オントロジー)は「存在とは何か」を問う学問です。哲学者が述べている「存在の世界がじつは世界ではない」という考えは、私たちが日常的に経験している現実が、実際にはもっと深い真実や別の次元の一部に過ぎない可能性を示唆しています。プラトンの「洞窟の比喩」もこの視点に関連しています。洞窟の中で影を見ている人々は、それが現実の全てだと思っていますが、実際には外の世界が存在するという話です。

現象学的視点
現象学は、私たちがどのようにして世界を経験するのかを探求します。エドムンド・フッサールやマルティン・ハイデッガーなどの哲学者は、私たちの経験がどのように構成されているのかを分析しました。彼らは、私たちが日常的に受け入れている現実が、実際には私たちの意識や経験の産物であると考えました。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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