目の前に居るクライアントは統計の「平均値」ではなく、唯一の存在!

(河合)
…… ところが、「私がうつ病の薬の効かない人に会って話をしたら、三年かかって治りました」という事例研究を発表すると、大勢聞きにくる。そして非常に面白いのは、僕がうつ病の話をしているのに、うつ病でない子どもの治療をする医者が聞いてもためになるし、ほかの不安神経症を診ている人にとっても「あ、なるほど」と思うところがあるんです。……

河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の8番目の見出し<心を科学的に研究すること>を取り上げる2回目です。
引用は、前回の最後に紹介した「文学者ではないことは明らかです」から始まる河合さんの語りの続きです。医者ではない「臨床心理“学者”」の河合さんが、科学的な研究発表とは異なる「カウンセリングの事例」を、中沢さんに紹介する内容(2ページ弱のボリューム)です。ここまでが、その半分くらいでしょうか。

「事例と科学的な研究発表とは異なる」とコメントしました。河合さんの訴えたい主旨が、そこにあることがしっかりと伝わってきます。事例は「うつ病」ですが、薬物療法主体の精神科医(対話ではなく薬に頼っている?)と異なり、「対話(のみ)」で毎回のセッションを進めていく臨床という点で、コーチングに敷衍できます。

「科学研究」は、「一般化・普遍化」を目指すわけで、統計的なアプローチ(ファクト)ありきです。一方で河合さんの語りは「個別性」そのものですよね。目の前に居るクライアントは統計の「平均値」ではなく、唯一の存在ですから。ただ。河合さんは「臨床」の個別性にも「普遍性」が存在することを熱く語っています。
この「コーチング大百科」で、その熱き語りを紹介しています。<心理学者と哲学者の深い対話は「コーチングの普遍性」に至る道だった!>です。

自分の治療とは一見かかわりのない「事例」に、なぜ医者が興味を示すのか… 河合さんのスタイルは「人間を理解する」王道としてのアプローチです。だから響くのです。一人ひとりの人間すべてに、その人だけの「物語」が存在しますから。
もう一つ「コーチング大百科」にリンクを張らせていただきます。<河合隼雄さんは、作家でも文芸評論家でも文学博士でもない、けれども…>のなかで、作家の小川洋子さんが「ナラティブ・ベイスト・メディシン」に触れています。

小川さんは、この後で「ナラティブ・ベイスト・メディシン」に触れます。定義は書かれていないので補足すると、ナラティブ(Narrative)とは「物語「のことですから、患者の「物語」をしっかり受けとめ、共感し、対話を重ねながら医療を行っていくことです。

医療現場、そしてカウンセリングについて、いろいろ書いてみました。さてコーチングです。コーチングは「臨床心理学」の100年の歴史と体系を受けています。ただここまで語ったように、カウンセリングは、精神的な病に陥っている人がクライアントです。つまり、「マイナスな状態をゼロ」に戻していくプロセスです。河合さんは、その終結が三年間という事例を語っています。カウンセリングは、クライアントが健常な状態に戻った時、それがゴールになるのですね。「終結」です。

一方でコーチングは、コーチングセッションの初期に「気づき」を得たクライアントが、自ら「ゴール」を定めます。パフォーマンスの向上を意図し、健常である心身を動かします。コーチは、そのクライアントと伴走します。スタート時点の「ゼロがプラス」に変っていく展開です。「終結」を前提としません。カウンセリングとの大きな違いです。

ここで、「コーチングの3原則」を確認しておきましょう。

  1. 双方向(インタラクティブ)
  2. 個別対応(テーラーメイド)
  3. 現在進行形(オンゴーイング)

です。
今回は、河合さんの語る「個別性」を軸に展開してみました。ですから、「2.個別対応(テーラーメイド)」を、端的に紹介することで、次回につなげることにします。

人には個性があります。その違いを尊重し合い、ジャッジメントすることなく対話は流れていきます。したがって、それぞれのセッションは実に多様であり多彩です。誘導されて進行していくわけではありません。一人ひとり異なる価値観を認め、受容することでコーチングは成立します。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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