コーチングセッションで起こる「気づき」は、無意識として意識されていない概念が、コーチとの対話によって、意識として浮上してきたタイミングで生じる、と捉えることが可能です。この無意識については。これまでCBLコーチング情報局で、フロイトとユングの理論を中心に、多くの紙幅を割いてきました。
今回は、『<心理療法コレクションⅠ>ユング心理学入門』のなかの「神話」を取り上げ、無意識とのかかわりを紹介することにします。
河合隼雄さんは、「神話は原始人が自然現象を説明するために考え出した。そうして自然科学が育っていった」、つまり「神話とは原始人の説明欲求に基づく低次の物理学理論だった」とする説に触れ、「だからといって、これはあまりにも一方的である」と述べます。
まず、自然現象が古代のひとによって記述される際に、どうして自然現象そのままではなく、空想的な話によってなされたのかを問題にしたい。単なる物理学、天文学としてならば、東から昇る太陽はあくまでも、太陽の姿として記述されるべきであるのに、どうして、それは黄金の四輪車に乗る神として述べられねばならなかったのか。(82ページ)
この後に河合さんは、ユングが東アフリカのエルゴン山中の住民の所に滞在していた時の体験を語ります。住民が日の出の際に太陽を崇拝するので、「太陽は神なのか」と尋ねるのですが…
住民たちは、まったく馬鹿げたことを聞くという顔つきで、それを打ち消した。そこで、ユングは、そのとき空高く昇っていた太陽を指さして、「太陽がここにいるときは神様じゃないというが、東の方にいるときは、君らは神様だという」と、さらに追及すると、皆はまったく困ってしまう。やがて、老酋長が、「あの上にいる太陽が神様でないことは本当だ。しかし、太陽が昇るとき、それが神様だ」と説明する。(82ページ)
河合さんは、「合理的思考法のみで固められたひとにとって、老酋長が説明する体験の把握は困難だ」と指摘した上で…
神話というものは、それに対応する外的な事象が存在したことも事実であるが、それのみが神話を決定するものではなく、それと同時に、それに伴う内的体験が重要なものであることがわかる。われわれは、外的な現象に対して、「なぜ?」と尋ね、それを合理的な知識体系へと組織化してゆくと同時に、その底においては、心の内部に流れる体験を基礎づけ、安定化させる努力、すなわち、神話を作り上げることが行われているのである。(83ページ)
数ページにわたって河合さんが「神話とは?」を詳述している内容を、チャンクアップで紹介してみました。
今回の解説は、コーチングにおける「気づき」から始めています。この「気づき」という言葉は、日常でもよく使われますが、コーチングセッションで「本物の気づき」を体験すると、不思議な感覚にとらわれることがあります。
それまで、まったく思ってもみなかった考え(無意識)が、像を結ぶのです。その像は、コンプレックスなどのフロイトが説明した「個人的無意識」の場合もあるでしょう。ただ、もっと深い層である「普遍的無意識」からのプレゼントかもしれません。そのプレゼントは、その人の「神話」をつくります。
コーチングは、一人ひとりがつくり上げる「神話」が作用し、前進していく力を得る体験なのかもしれませんね。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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