『<心理療法コレクションⅢ>生と死の接点』は、世界中の「昔話」「小説」が豊富に取り上げられています。今回は、河合隼雄さんが202ページから「老人と少女」のタイトルで語りを進める「モモと老人」です。ミヒャエル・エンデの『モモ』を取り上げます。
主人公である8歳なのか12歳なのかわからない、浮世離れた少女のモモと大切な関係をもつ人物のひとりが、道路掃除人のベッポです。そのベッポは「頭が少しおかしい人じゃないか」と皆に思われているような老人で、外形的には何の取柄もなく、ただ、毎日ゆっくりと道路の掃除をしています。
ベッポはものを言うのに大変時間がかかるので、多くの人は待ちきれなかったが、モモだけはじっくりと待って話を聞いてくれる。そこで、ベッポは落ちついてモモだけは十分に自分の考えを話せるのである。彼は長い道路の掃除をするときに、せかせかとあわててやるとしまいには息が切れて動けなくなるといい、次のようによいやり方について語る。
「いちどに道路ぜんぶのことを考えてはいかん、わかるかな? つぎの一歩のことだけ、つぎのひと呼吸のことだけ、つぎのひとはきのことだけを考えるんだ。いつもただつぎのことだけをな。」
「するとたのしくなってくる。これがだいじなんだな、たのしければ、仕事がうまくはかどる。こういうふうにやらにゃだめなんだ。」(203ページ)モモはベッポの話から得るところがあろうし、ベッポは少女の聞き手を前にして、自分の考えを語れる楽しさを味わうことだろう。このように、老人と少女の組み合わせは素晴らしい。(203ページ)
ベッポの「たのしければ、仕事はうまくはかどる」は、実に含蓄のある言葉ですね。
河合さんは、「カウンセリングの最も大切なことは相手の話を徹底的にきく」ことだと、言います。「傾聴は新しい可能性を生み出す」、でも、「一般の人がなぜ傾聴しないのか」について紐解きます。
『モモ』は世界中で読まれているファンタジーです。「時間とは?」「いのちとは?」「死とは?」といった人間の根源的テーマについて、モモと老人の対話を感じながら、読者もいつのまにか自問自答している… と、気づかされる内容です。
『モモ』に多くの人が共感を覚え、無数に存在する小説のなかで光彩を放っているのは、少女と老人という、ファンタジーだからこそよく取り上げられる「関係性」であることが挙げられるでしょう。河合さんは、そのあたりに着目して、気づきを得ます。
「われわれは老人の言うことに対して、それが正しいか誤っているかなどという前に、ともかくそれを「心の中にだいじにしまっておく」ことが大切ではなかろうか。それにモモとベッポのように、その老人が大好きだなどということになると、老人はどれほど幸福に感じるだろう。(204ページ)
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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