
(吉本)
そう、今日はそのことを河合先生はどう思っていらっしゃるのか、もうちょっと深く訊こうと思って。
(河合)
それでも、どうでしょうねえ。そうは言っても、ほんっとにしがらみがなくなったら急に寂しくなりませんか。どうやろ。
(吉本)
ならないですね(笑)。絶対に。きっぱり。でも、いま世代間の意識が、ちょうど大きく変化しましたよね。河合先生ぐらいの世代から私の世代、その下に至るまで。だから、ちょっとモデルがない状態で ……。
前回紹介したやりとりの続きです。河合隼雄さんと吉本ばななさんの対談『なるほどの対話』の第1章「若者のこと、しがらみのこと、今の日本のこと。」の10番目の見出し「しがらみ」の半ばあたりを引用しました。
作家の吉本ばななさんは、河合さんが「日本的しがらみ」をどう捉えるのか、とても興味を覚えたようです。ここから河合さんに「端的な質問」をどんどん繰り出します。
ばななさんの小説は多言語で翻訳されており、世界的作家の地位を確立しています。つまり日本人であっても「日本的しがらみ」を超越している。「“しがらみ”がなくなっても、まったく寂しくない!」と、断言していますから(笑)。そのばななさんは、「世代間の意識が、大きく変化している」と、指摘します。河合さんは何と応えるのか… …
(河合)
難しいんですけどね、ガラッと変わったとも言えるし、ほとんど変わっていないとも言える。日本的しがらみなんていうのは、ほとんど変わっていない。
(吉本)
その変っていない日本的しがらみというのは何かの役に立っているんでしょうか。日本の何を支えているんですか?
(河合)
やっぱり能力のない人を支えている強力な武器でしょうね。
(吉本)
なるほど!
「日本的しがらみ = 能力のない人を支える強力な武器」…このような洞察が「スッ」と言葉として立ち顕れる河合さんの「凄さ」に、感服です。
ところで、ばななさんはこの「しがらみ」も含めて、「いま世代間の意識が、大きく変化している」と言明し、河合さんに(暗に)同意を求めている。ところが河合さんは、そうではなく「ほとんど変化していない」と答えている。ただし、その前に“とても大切な言葉”を挟んでいます。それは「ガラッと変わったとも言えるし」です。
なぜこの言葉が「大切だ」と筆者が感じたのか?その理由は……
河合さんの結論は「変化していない」です。もし、この「変わったとも言えるし」が挟まれないと、ばななさんの見解(変化している)を、バッサリ否定することになります。その場合、ばななさんは、「そうですか…」、あるいは「私は変わったと思うんですけど…」と、「議論」が生じる可能性もあるでしょう。つまり「対話の流れ」が止まるのです。
だからこそ、すぐさま「日本的しがらみは何かの役に立っているのか?」という質問につながり、河合さんの「解」が、引き出されたのです。ばななさんは「なるほど!」と、声を上げます。
アマゾンは、この『なるほどの対話』の紹介文に、「個性的な二人のホンネは、とてつもなく面白く、ふかい。対話の達人と言葉の名手が明かす生きるコツ。」という言葉を献じています。共感至極です。
河合さんは、「日本文化のしがらみのおかげ…」という表現も用い肯定しつつ、でも河合流で捉えているのですね。続くやりとりを引用し、今回の解説を終えようと思います。
(吉本)
じゃあ、有効に機能している……。
(河合)
カルチャーというものは、すべてプラスとマイナスの両方を持っていますから。
(吉本)
プラス面が、そうだと思うと……。
(河合)
それがわかるからね。あんまり悪口が言えないんですよ。
(吉本)
なるほどねえ。難しい。
コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。
This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.


