…… 言葉でつくられた意識の世界は水に描いた絵みたいなもので、書いたそばから消えていく、というような教えです。言葉でつくられた意識の世界は水に描いた絵みたいなものだ、それは水が流れていくように変化して、もとの形はなくなっていくでしょうということを相手に理解させるのですね。こういう話を見ていると、フロイトやラカンがつくった、言葉に対する執着の強いヨーロッパ人の世界でつくられた心の癒しの教えと、仏教から流れ出てくるような癒しの教えとの間にかなり大きな感覚の違いが存在して、そこではユングはちょうど橋のような位置にいる人だという気がします。
河合隼雄さんと中沢新一さんの対談を収めた『ブッダの夢』を引用しつつ、コーチングを語ることを始めています。
引用は、第1章「仏教と癒し」の4番目の見出しである「欧米の精神分析療法における言葉」の中にある中沢さんの言葉です。
同書は、「仏教」に共感するお二人の対談なのですが、俯瞰すると、「西洋と日本を含む東洋の比較文化論」として捉えることが出来ます。そのアプローチ方法は、「弁証法」であり「異質の調和」です。
同書の冒頭で、中沢さんは「キリスト教の自力と仏教（特に浄土真宗）の他力の中間点」に言及し、湯川秀樹の「中間子論」に敷衍します。この4番目の見出しでは、その中間点をユングに求めます。
ユングの思想は、最終的に東洋の曼荼羅に行き着いたのですね。中沢さんの視点にユング派心理学者の河合さんも共感します。
（河合）
真ん中ぐらいにいる人じゃないかな。ただ、書いたものは、どうしてもヨーロッパ的になる。ところが彼の実践を聞いていると、非常に東洋に近くなってきますね。しかしやっぱり書いたものでも、中間ぐらいでしょうね。だから、長い間ばかにされたんでしょう。
（中沢）
失礼にもばかにしていますよね。
（河合）
ほんと、ばかにされたわけですよ。おかしいとか。それが、1970年から急に評価されてきたというは、やはり欧米人の思想体系が変わってきたということでしょう。
ユングは1961年に亡くなっています。今日の世界的評価をユングが知ると驚くもしれませんね。ユングの思想は、善と悪の二元論と異なる「善でも悪でもない」という世界観です。「断定」を拒むのです。
コーチングがしっかり機能しているセッションを体験すると気づくことがあります（コーチもクライアントも）。それは予定調和に流れていないということなのです。冒頭の引用に目を転じてください。「仏教から流れ出てくるような癒しの教え」を「それは水が流れていくように変化して、もとの形はなくなっていく」と、中沢さんは紹介しています。コーチングも、そのように捉えることができると筆者は受けとめています。
もっとも、少し禅問答のようでありますので、リンクを張った解説の後半を引用し、補足説明させていただきます。コーチングを体験すると、芳醇なひと時が訪れますよ。
経験を重ねたプロコーチは、そのゴールまでにどのようにセッションを組み立てようか「当たりを付ける」、と（言ってもよいかと）思います。
その「当たり」通りに展開した場合は、「予定調和」のセッションとなった、と表現できるかもしれません。ただし、ほとんどが「そうならない」のです。ここで誤解してほしくないのですが、「コーチングの戦略と戦術」は極めて重要です。それを立てないで臨むのは「素人」ですから。
「コーチングがしっかり機能している」状況とは、そのプロセスを踏んだ上で、「予定調和」ではない「物語」がクライアントとコーチの間に生まれることなのです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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