専門外の小川洋子さんに「数学の神様」が降りてきたのは「感動の力」!

(河合)
完全数というのも不思議ですね。約数の和がその数となるという。何でや、と思うね。
(小川)
あの不思議を知って感動しない人はいないと思います。神様の手帳に書いてあるという感じ。
(河合)
人間の生まれる前からこというオーダー、秩序があるというのが、面白い。線分の話もいいですね。
(小川)
「真実の直線はどこにあるか。それはここしかない」と言って、博士が自分の胸に手を当てるところ。

今回は、『生きることは、自分の物語をつくること』の3つ目の「見出し」である「永遠につながる時間」を取り上げます。
前話で河合さんは、「数学は科学の女王」と言われる、と言葉にします。ただ、その美しさを誰かと共感しようと思っても、「数学は難解」という見方が、世の中の通り相場ですから、その「共感」は「数学を知っている数学者」同士でしか味わうことが出来ない、と多くの数学者はあきらめに似た感情を抱いているのかもしれません(と同時に「特権意識」も?)。

小川さんは、早稲田大学第一文学部文芸専修の出身です。その小川さんが、数学者は数の世界の美しさに感動するんだと知って、自分もその感動を体験したいと、畑違いの数学(の本質)に挑み、それが、「数学について特に感興を覚えたことのない一般読者」をも“とりこ“にしてしまったのが、『博士の愛した数式』です。

「僕もチラッとは女王を見たんやけど、これはダメやと思ってね。それで糟糠の妻、臨床心理学という方に……」と、前話で河合さんの言葉を引用しています。河合さんは若い頃、数学者の世界を極めてみよう、と「志」を抱いたのだと思います。ところが…挫折した。

河合さんの著作については、さまざま目を通している筆者ですが、「数学」について語ったものはありません(筆者の読書体験の範囲内において…)。もちろん、ご自身が数学教師であったことは、言葉にされています。ただし、「数学“そのもの”」を解説するといったシーンにお目にかかったことがないのですね。
その河合さんが… 『博士の愛した数式』に感激し、執筆者の小川さんと「数学の美」について、我を忘れて語り合っている。

ここでは、「数学を知る」お二人が、お互い「知っている安心感」のもとに、説明不用のまま、対話にドライブがかかっています。「CBLコーチング情報局」としても、専門用語を“少しは”説明したくもなりますが、やめておきます(笑)

「できるだけわかりやすい言葉で、できるだけわかりにくいことを話そう」というのは、村上春樹さんの言葉です。小川さんも『博士の愛した数式』のなかで、難解な(?)数学について、とても「わかりやすく」、ご自身の感動を(主人公の家政婦である“私”に仮託して)、読者に伝えてくれます。興味を覚えた方は一読を!

河合さんはこの「数学」を、「魂」につなげていきます。

(河合)
無限の直線は線分と1対1で対応するんですね。部分は全体と等しくなる、これが無限の定義です。だからこの線分の話が、僕は好きで、この話から、人間の心と体のことを言うんです。線を引いて、ここからここまでが人間とする。心は1から2で、体は2から3とすると、その間が無限にあるし分けることもできない。
(小川)
ああ、2.00000……
(河合)
そうそう。分けられないものを分けてしまうと、何か大事なものを飛ばしてしまうことになる。その一番大事なものが魂だ、というのが僕の魂の定義なんです。
(小川)
数学を使うと非常に良く分かりますね。

「数学とは、森羅万象を最もシンプルかつ最も抽象的な数式で表現しようとする営為である」と、筆者は勝手に定義づけているのですが、最も抽象的だと想像される「魂」が、河合さんによって「数学」とつながりました。
河合さんは、続けます。

(河合)
お医者さんに、魂とは何ですか、と言われて、僕はよくこれを言いますよ。分けられないものを明確に分けた途端に消えるものを魂というと。善と悪とかもそうです。だから、魂の観点からものを見るというのは、そういう区別を全部、一遍、ご破算にして見ることなんです。障害の人とない人、男と女、そういう区別を全部消して見る。

「科学の女王をチラッ」と見た河合さんは、臨床心理学という「糟糠の妻」を一生愛し続けました。その河合さんのことを「CBLコーチング情報局」で語ることができる幸せを、今しみじみと噛みしめています。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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