「省庁の壁破り」というテーマ性を帯びたエッセイでしたが…

河合隼雄さんの『大人の友情』の24話は、7番目のテーマである、「碁がたき、ポンユー」の、1話目のエッセイ「親の死目に逢わぬ」です。テーマのタイトルに「碁」と「ポンユー」とあるように、碁やマージャンといった趣味を取り上げるエッセイとなっていますが、河合さんは、「…碁について語るというのではなく、碁を打つためには相手が必要なので、その相手との関係ということから友情について考えてみよう」、と語っているように、「友情」がメインテーマであることを、まずはお伝えしておきます。

冒頭で河合さんは、エッセイタイトルの「親の死目に逢わぬ」について、次のようにコメントしています。

「碁に凝ると親の死目に逢わぬ」という諺がある。子どもの頃に聞いたことがあるので、『岩波ことわざ辞典』を引いたが載っていない。あまり言わないのか、と思ったが、『広辞苑』の「碁」のところを引くと、このとおり載っていて、「碁は親の死目にも逢えぬほどふけりやすいものである」という解釈が書かれている。やっぱりあったわと嬉しくなる。

エッセイの書き出しで、おぼろげな自分の記憶が、『広辞苑』によってオーソライズされた喜びが素直に綴られました(笑)
エッセイの中盤では、麻雀に力点がシフトします。「省庁の壁破り」と「麻雀」の関係に言及する河合さんです。エッセイに「テーマ性」が帯びてきました。

日本の縦割り行政というのは評判が悪い。省と省の間のにらみあいにまきこまれると、できるはずのこともできなくなる。そんなときに、省の垣根を超えて、異なる省の官僚がひとつのことに協力しあっている姿に接して、「珍しい」と、ほめているような冷やかしているような感想を述べると、ちょっとてれ笑いをされながら、「実はわれわれはポンユーでしてね」と言われることがある。その言い方には、「お互いに気心がよくわかっていますので」という感じがよく伝わってくるものがあった。

筆者が大学生の頃は、「大学には友人を誘い麻雀するために通っている」という言葉を、多くの学友から聞いていましたが、さすがに現在はそのようなことは少なくなったと、想像しています。河合さんも、面白おかしく、言葉をつなぎます。

親の死目に逢えないどころか、「麻雀に凝ると、省庁の壁が破れる」などという諺ができて、官僚はもっぱら麻雀すべし、ということになるかもしれない。もちろん、これは冗談だが、訊いてみると、昔は官僚で麻雀をする人は実に多かったが、現在はほとんどなくなっているとのこと。「省庁の壁破り」の件についても訊いてみると、やはり、麻雀するのも同じ職場の者とすることが多いので、そんな例は少ないとのこと。しかし、部課の壁を破るほどの効果は、ある程度あったらしい。

7番目のテーマである「碁がたき、ポンユー」の、1話目のエッセイを書こうとして『広辞苑』を調べたところ、小さな喜びを感じた故か、河合さんは、この「親の死目に逢わぬ」の最後でも『広辞苑』を登場させています。
ちなみに、2話目は「悪口の応酬」、3話目は「家族とゲーム」、そして最後のエッセイタイトルは「碁がたきの味」です。

CBLコーチング情報局では、毎回の解説において「コーチングにつながる1話完結」を心がけています。『大人の友情』も、12の大きなテーマを掲げ、それぞれ4話を充てるなかで、「1話完結」をベースとした構成です。
ただし、「親の死目に逢わぬ」は、ポンユーの語源を語ることで終わってしまいました。ということで、若干の弁解も込めて、1話目の最後の「なお、ついでながら…」を引用して、今回の解説を終えさせていただきます。

なお、ついでながら、ポンユーの語源について。私は、麻雀では「ロン」「ポン」などと言うので、それによる友人を「ポン友」というのだと思っていた。しかし、念のため『広辞苑』を引いて驚いた。「ポンユー」は、(中国語)とあり「朋友」と書かれている。つまり、中国語で「友人」ということだ。麻雀とは本来は関係のない言葉である。麻雀は中国の遊びなので、麻雀を介しての朋友(ポンユー)ということらしい。これは知らなかった。

(筆者追補記)
「朋友」の正確な中国語発音は、「ポンヨウ」のようです。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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