肉体関係を意味する「深い関係」は、「心の関係」としても深まっていく…

河合隼雄さんの『大人の友情』の「男女の友情は成立するか」は、いよいよ「起承転結」の「結」を迎えます。「異性間の友情」をタイトルとして、離婚した夫婦の間に生じる「大人の素敵な関係」から、河合さんの語りがスタートします。

夫婦の間の友情について述べたが、これは異性の間に友情が成立する可能性を示唆している。恋愛の嵐によって脅かされずに、異性間に友情は成立する。実際に横から見ていて、そのような友情が成立していることが感じられる例がある。そのような例でわかりやすいのは、かつては夫婦、あるいは恋人の関係だったが、その関係が消失した後に、互いによき友人としてつきあっている、というのがある。いわば、性の関係を「卒業」してしまったような関係である。

ここで、河合さんは、「卒業」してはじめて「友情」が生まれる、と結論づけていると思われてしまうのでは…と、考えたのでしょう。「名人芸」を語り、補足します。

異性間の友情は、何もその人を相手に恋愛感情や性の関係をもって、それを「卒業」してから、というのではなく、最初から極めて慎重で抑制力のある態度をもつことによって達成される。しかし、これをイメージで表現すると、昔話などで語られるように、細いビンの口を五円玉で蓋をして、木の上から油の入ったツボを開け、五円玉の穴に油を流し込むような、少しのズレも許されない、「名人芸」が要請される。ちょっとの油断で、油は外に漏れてしまう。

この4話目は「起承転結」の「結」です。「男女の友情が成立」するのは「名人芸」と言われてしまうと、「がっかり」ですよね(笑)。大丈夫です。河合さんは、最後に「スリリングな話題を用意してくれました。

ある夫婦の夫の同僚の男性は独身だったが、その家に招かれて食事をしたりしていた。そのうちに、夫人とその男性の間に親しい気持ちが強くなったが、夫の方は別に気にしないどころか、彼が来てくれると家がにぎやかになる、と歓迎しているようであった。心のなかで何か惹きあうものを感じつつ、二人はお互いの気持ちを「友情」として保つように努力していた。
三人でコンサートに行くはずだったのに、夫が出張することになった。夫はまったく気にせずにせっかくだから二人で行ってこいと言って出かけていった。特に何を言ったということもないのだが、二人はこのコンサート行きが二人にとって決定的なことになるという予感があった。

CBLコーチング情報局では、「言語連想検査」の一端を知ることでコーチングに幅と奥行きが生まれる! というタイトルで、ユングの学術的功績を取り上げています。その際、書きかけの文の後に続く文章を自由に書いてもらう「文章完成法(SCT)」という心理テストについても、軽く触れています。読者の皆さんも、ここで一旦読むのを止めて、この後に続く“物語”を創ってみてはいかがでしょうか。

恐れと期待のなかで、夫人が外出のための化粧をしているとき、電話が鳴り、出張先の夫が交通事故で入院、すぐに来るようにと連絡があった。幸いに命に別状もなく、しばらくして退院したが、夫人と独身の男にとっては、このことがひとつの「天啓」のように感じられた。心のなかの高波が引くのを感じた。
独身の男性はその後結婚し、この二人の夫婦は友人として長くつきあうことになる。もちろん、例のことについて誰も知らないし、二人はその後それについて話しあうこともない。しかし、それぞれ、何か心のうずくようなこととして思い出すことはある。

このエピソードは、小説家の想像力が生み出した“物語”のようにも感じます。河合さんは、カウンセリングを深く重ねていくと、「不思議なこと」がよく起こる、と言います。河合さんは「つくりばなしを語っていない」、と受けとめようと思います。

4回にわたって取り上げてきた、河合さんの「男女間に友情は成立するか」において、「コーチングの解説は、なかなか登場しないようですが…」と感じられた読者の方は多いかもしれません。カウンセリングと異なり、コーチングで「性」を正面から語り合うセッションは、多くはないでしょう。ただし、河合さんが説くように、「大人の恋愛(性)と友情」は実に深淵なテーマです。コーチの側からの誘導ではなく、クライアントが、いつの間にか「性」についての語りを始めた時、その世界に身を委ねてみることで、「豊饒で不思議な世界」が広がっていくかもしれませんね。

最後のパラグラフを引用して、4話にわたって綴ってきた“コーチングの解説”を終えることにしましょう。

このように見てゆくと、異性間の友情は相当な心の深さに関連していると考えられるのである。心の深みが関連するとき、このような「不思議なこと」がよく生じるからである。一般に「深い関係」とは、肉体関係を意味するが、心の関係がだんだんと深まってゆくときに、体を通じることなく、あくまで心の関係として深まってゆく、ということは可能である、と思われる。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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