張り倒してやりたいほど嫌いな人、ありますか? どんな人ですか?

河合隼雄さんと吉本ばななさんの『なるほどの対話』第2章「往復書簡」を取り上げる4回目です。第1章は、文字通り「対話」でしたから、お二人のやり取りのなかで、「対話であるコーチング」が息づいているところを引用し、「ふかいところ」を解説してきました。
第2章は、目の前にいる相手と「語り合う“対談”」と異なり、送られてきた質問をじっくりと読み込み、時間という味方を得て、記述の回答を返す(これも“対話”です)、という流れです。
臨床心理学者と作家の「往復書簡」は、第1章とはまた違って「対話の余白」をさらに豊かにしてくれます。今回も「芳醇な味わい」をお伝えしたいと思います。

さて、前回は8つの「Q(河合)→ A(吉本)」のうち、前半を紹介してみました。今回は、後半の3つについて、取り上げることにします。

Q(河合)
張り倒してやりたいほど嫌いな人、ありますか? どんな人ですか?
A(吉本)
動物を自分の趣味でいじめる人です。猫を殺したり、盲導犬を蹴ったり……。ああいうのを見て反射的に感じる怒りの量は、自分でも驚くほどです。カモを撃つとか、毛皮のためにミンクを殺すとかもあまり賛成しませんが、何よりも自分の楽しみのためだけに、すっかり信頼関係を築いている人間社会にとけ込んでいるような種類の動物を傷つけたり殺したりするのは、許せません。

大胆な質問です。対してばななさんの回答は、とても“ふかい”。
動物愛護を訴える人はたくさん存在します。ただ、その人たちに対して、「そういうあなたは牛や豚の肉を食べているではないか」という問いが、必ず発せられます。ばななさんも広い意味で「動物」を慈しんでいる。ただし、ばななさんは最初に「自分の趣味で……」と、強く言葉にしている。
怒りが沸騰するのは、「何よりも自分の楽しみのため“だけ”に、すっかり信頼関係を築いて人間社会に溶け込んでいるような種類の動物を傷つけたり殺したりする人」です。たった5行で、ばななさんは、「自分の世界観」を河合さんに、そして読者に「腹落ち」させている。
「アマゾン」の紹介文── 個性的な二人のホンネは、とてつもなく面白く、ふかい。対話の達人と言葉の名手が明かす生きるコツ。── に、共感至極です。

Q(河合)
子どもの頃の思い出で、印象に残っていることをひとつ、語ってください。
A(吉本)
と散歩をしていて、公園で巨大な蟻を見たことです。虫ネタが多いですね……私。父と手をつないで階段を上りながら、二人とも足下を見て列になっている蟻を数えていたら、茂みから急にすごくでっかい蟻が出てきたのです。十五センチくらいはありました。私は「これは夢ではない。すごいものを見てしまった! 忘れてはいけない!」と思ってメモに書いたほどです。5歳くらいのときでした。父は、あまりにも変なものを見たからか、そのくらいのものはあり得るだろうと思ったのか、すぐに忘れたようです。それも不思議……。

ばななさんの著作のファンであれば、この回答は「とてもばななさんらしい」と感じるのではないでしょうか。「15センチの蟻なんて、いるわけないじゃない!」と、多くの人(すべての人?)は断言するでしょう。ただし、ばななさんは「見た」のです。そのような蟻が、物理的に存在するか否か…それを究明するのは、この場合意味がないと感じます。
ばななさんは「嘘」を言っていない。5歳のばななさんの意識が、15センチの大きな蟻を「見た」のです。

さて、最後の質問は? というと……
Q(河合)
結婚したいと思いますか? これは訊いてはよくないのかな。
A(吉本)
しています、結婚。
でも、この質問のなかの結婚というものがもしも入籍のことなら、もうあきらめました。……

河合さんとばななさんの、この「往復書簡」は、四半世紀前です。当時のばななさんは「事実婚」について、限られた人にしか開示していなかったようです。河合さんだからこそ、オープンに答えたのでしょう(出版が予定されている対談です)。2026年現在は、「このような質問」はご法度が共有されています(それもちょっと不思議ですが…)。当時のばななさんは37歳。「日本の結婚に対する価値観(制度も含めて)」に悩みぬいた、その帰結としての選択であったことが、ひしひしと伝わってきました。続く……は13行(文庫本)です。全文を紹介し、今回を終えることにします。

(承前)
自分の決めた以外の要因が人生にはたくさん働くものだなあ、と思います。この役割というか、知名度というか、収入というか、全てがいま、日本社会で私が嫁に行くにはマイナスに働くのです。で、いっそ婿養子がほしいなあ、とか自分に置き換えて考えると、男性がいかに嫁をもらうことにイージーであるかよくわかるので、さらにそのシステムに疑問を感じ、もう芸術家としてとおしていったもの勝ちだという結論に達しました。三十七歳にしてやっと。
でも、つまらないので、事実婚というのはしました。神社で式だけにして。
そして、結婚していますか? と訊かれたら、してますと答えるようになりました。それまでは、どんなに親しく付き合った人でもそういう言い方はしなかったので、やはり自分のなかで明らかな区別がなされているようです(人ごとみたい……)。どうせ身ひとつ。看板一枚で生きていくつもりの覚悟を決めた人生なので、今回は(次回があると信じつつ?)それだけでじゅうぶんです。比較的穏やかなこの状態にすごく満足しています。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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