『現代に生きるアドラー心理学』の一節です。
個人心理学の最後の前提は、楽観主義です。フロイトの体系は基本的に悲観主義で、人間性についての前提では、「人は葛藤の中に存在し、自分の内だけでなく他者との間でも葛藤を生じている」といわれています。
アドラー体系はずっと楽観的で、人は変わることができるし、変わるのだとされています。人は自分に責任を取ることができ、実際取るものであり、そして、より良いものをめざして協力的に働ける能力も持ち合わせています。
しかしながらアドラーはある一つのことを確信していました。それは「人は善くも悪くもない」ということです。人間性というものは中立的なものなのです。
「善と悪」を思考することが人間にとっての哲学的、宗教的な最終目的のような気がしています。「善と悪を二分」して考えるのか、それとも「分かちがたいもの」として捉えるのか、あるいは、「性善説」「性悪説」と表現されるように、立ち位置としての視点も存在します。アドラーも当然、「善と悪」について、考え抜いています。
遺伝、環境、創造力の選択が全て相互作用して、人間の究極の虚構的目標が生み出されます。それは、社会的に有益であったり、そうでなくて中立的だったりしますし、そこへ向かう動機も「善きもの」であったり「悪しきもの」だったりします。
アドラーは否定的ではありません。彼は犯罪者や精神病者、権力の下に敷かれた人々と接しながら世界大戦を生き抜きました。彼はフロイトと同じくらい人間性の極端さを熟知していました。フロイトは第一次世界大戦を生き抜いて、死という本能を強調しました。彼は人間の究極の目標は非有機的な状態に戻ることだと感じたのです。
しかし、アドラーは医者として同じ戦争を体験しましたが、共同体感覚という概念を提案しました。私たちは生物学上における一つの種として、善くなろうという可能性を持っています。それを現実にするかどうかは私たち次第なのです。
私たちは、自分の運命を、最高のものにするか、最低のものにするか、に責任があるのです。
面白いもので現代においてフロイトは、自分のアイデンティティであるとこだわった「科学者」としてではなく、「思想家」として高く評価されています。それも、マルクス、ダーウィンと並ぶ「20世紀最大の思想家」として世界から称賛を集めているのです。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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