キリスト教の本質は『ヨブ記』に見出せる…のかもしれない
(河合)まったく話は違うんですが、心理療法家としての体験で言うと、いわゆる倫理的なことを破っているような人たちに会うのが多いわけです。(中沢)そうですね。(河合)むちゃくちゃやっている人に会う。その時に、いや、死んじゃだ...
(河合)まったく話は違うんですが、心理療法家としての体験で言うと、いわゆる倫理的なことを破っているような人たちに会うのが多いわけです。(中沢)そうですね。(河合)むちゃくちゃやっている人に会う。その時に、いや、死んじゃだ...
(中沢)十戒を見ても、かなり神様の個人的な趣味がかかわっているなと思うところがある。(河合)ほんと、ほんと。(中沢)もしちゃんとした法を人間に与えるのなら、もうちょっと目配りを平等にやってもらいたいと思うのに、なぜか、主...
(中沢)スピノザも最終的にはニルヴァーナへ行くと思います。つまり、生命は快不快原則でできていて、ホメオスターシスが守られていれば快です。ところが、これが破られれば生物は不快になる。僕らも、カルシウム濃度があんまり低くなる...
(中沢)……スピノザとライプニッツは、今、やっぱりとても重要な二人ですね。今の人間のかかえている魂の問題は、スピノザの汎神論というか無神論ではないと、解けないことが多い。(河合)そうですね。全部神。(中沢)全部神だという...
(中沢)ところが、神は、モナド(単子)で思考します。モナドは、要するに二元法のさらに根源にあるもので、これを正確に数学で表現することは不可能です。ライプニッツは今のノイマン式コンピューターの最初のアイディアをつくった人だ...
(中沢)河合先生の魂の、そういう真実を奥さんは知っていますか。(河合)奥さんは知っていると思う。(中沢)やっぱり何十年も暮らさないとわからないものですか。(河合)そうですね。だから、こないだ正月に集まって話している時に、...
(中沢)日本人がさばくのは魚ぐらいでしょう。(河合)あれはうまい人が多いけど、そう言えば、さばく場合は二つにさばかないね……。(中沢)三枚におろす。二元論を超えようと(笑)。でも骨の部分は何だろう。(河合)バックボーン。...
(中沢)僕は、大学の時、周りの仲間はヨーロッパやアメリカへ留学して、僕だけカトマンズへ留学してしまった。(河合)すごいですね。(中沢)いや、それでもっと何か変なことになっちゃったんです。僕は仏教をやっていますが、日本の仏...
(生成AIへの質問)中沢新一さんが『ブッダの夢』の中でスピノザを語っています。この河合隼雄さんとの対談は1990年代です。そして30年を経た現在、日本の哲学者や識者が、スピノザを紹介することが多くなっているように感じます...
(河合)チベット仏教の場合は、善悪の対立そのものから解脱しているでしょう。仏教の単純な理解では、ぱっと煩悩として否定するのは、僕、好きじゃないんですけど。(中沢)ただ仏教も、教えの方法が四万八千というほどたくさんあって、...
(河合)すごいですよ。ユングは、女性がいっぱいいましたからね。しかも、彼は、当時、女性との関係を相当公然と生きてたんだから、すごい人間ですね。今だったら、そういう人はいっぱいいるでしょうけど、あの当時に生きてたんだから。...
ユングは女性たちから多くのことを学んだ。しかし見方によれば、ユングは女性たちから学ぶだけ学ぶと、彼女たちを足蹴にしたともいえる。ヘレーネのことも、ザビーナのことも、その存在と、ユングへの大きな影響力を人々が知るようになっ...
(中沢)僕は、カソリックに対しても、キリスト教全般に対しても、それを全霊をこめた信仰とすることはできないのです。むしろベルナノスのような悪を描いたカソリックの作家や、バタイユのような反カソリック思想に、親近感をおぼえるの...
(中沢)僕はそれを読んで、自分の中に流れている血を、初めて確認したのです。僕の中には、悪に対する強烈な関心がある。悪は、要するに過剰にした自然なんだという意識がお祖父さんにもあったと思います。それを読んだ時、僕は、一種の...
(中沢)…… だから僕が知っているお祖父さんは、早朝五時に起きて、マラソンして、トマトに水やって、ニワトリに餌やって、それから神に祈りを捧げて、物も言わず食事して、それから診察室に行くみたいなお祖父さんだったわけです。だ...