「元型」「阿弥陀如来」とは…そういうものに与えた仮の名前
(中沢)「阿弥陀如来」と言ってしまってもいいし、言わなくてもいい。「グレートマザー」でも、「自然」でもいいけれども、そう言ってしまってもいいし、言わなくてもいいわけですね。ただ何かさっき言った「絶対肯定」……。 河合隼雄...
(中沢)「阿弥陀如来」と言ってしまってもいいし、言わなくてもいい。「グレートマザー」でも、「自然」でもいいけれども、そう言ってしまってもいいし、言わなくてもいいわけですね。ただ何かさっき言った「絶対肯定」……。 河合隼雄...
(中沢)いつも不安でいるということは、言ってみれば神経レベルが高いところで張り詰めている状態にあるわけですね。そういうなかから「朝食はバナナ」というのがぽーんと出てくるのかな。(河合)あり得ることです。めったにありません...
(河合)もっと徹底した言い方すると、問題に深い浅いはないわけですね。だから、「水飲みましょうか」と言うたって、えらい問題ですよ。言いようによったら。「まあ、水でも飲みましょうか」と言っているのだって、完全に禅問答になり得...
(中沢)先生がやっていることと、仏教が哲学やら社会相手にやっていることは非常によく似ているんですよ。「じゃブッダさん、『空』とは何ですか」と聞かれたようなものでしょう。(河合)そう、そう。(中沢)その場合、ブッダは黙って...
(中沢)…… 仏教というのは「否定」を原動力にして進む運動なんですね。ただ、一方で日本で発達した仏教のようなケースを考えてみると、根本においては「否定」の塊を抱えているんですけど、これを表現するときに親鸞の「自然法爾(じ...
(中沢)こういう話から始まったのは、哲学から心理学から社会に対する対応にまで、ありとあらゆるところで「否定」がつきまとっているからなんです。仏教という宗教についても「否定」がありとあらゆるところでつきまとうわけですね。(...
(中沢)たとえば先生が言ったことに対して、クライアントが「違うんです」と反対したときは、どうされるんですか。別のほうから攻めるんですか。(河合)僕はね、自分の意見を言うということはめったにないです。(中略)それと「あなた...
(中沢)…… とりわけ「否定」の問題が現代の社会のなかでヴィヴィッドにあらわれてくるのは、先生が関わっている心のケアの問題です。フロイトも「否定」という有名な論文を1925年に書いていますが、精神分析にとって「否定と出会...
(河合)そのときに覚醒した仏教と資本主義との関係はどうなるんですかね。(中沢)これはいままで誰も考えたことのない問題なんです。(河合)そうでしょう。だからそのへんをちゃんと考えていかないと。まさにグローバリゼーションです...
(中沢)仏教の本質とは、ですから極端なパラドックスだと思います。ですけども、人間が「自然教」から飛躍しようとして生み出した解決法としては、いちばん高度だったと僕は考えています。一神教の解決法では、女性を抑圧してしまいます...
(中沢)そういうところで、どういうお祭りが行われているかというのを見ると、鹿児島でも男が結社をつくっていますね。男が祭りの中心になる。そのお祭りの神様は何かというと、これが稚児で、きれいな少年を選んで、女装させる。この稚...
(中沢)……いろんな神話がそれについて語られていますが、僕がいちばん感動した神話は、赤マタ黒マタの神様は実は子どもなんだ、という神話でした。あるとき子どもが山へ入ってしまって、行方不明になった。行方不明のまま幾日も経って...
(中沢)分析の材料を、もっと話します。これには二つのきっかけがあるような気がしています。一つは子どものときに読んだまんがの『西遊記』です。そのなかで孫悟空がいろんな失敗をしでかして、そのたびに観音様が出てきて叱るでしょう...
(河合)そうですね。もう絶対的女性原理優位。ところが女性原理優位の場合は、いわゆる自然調和のようなかたちを取るんだけど、仏教の場合はすごく知的に洗練されてくる。そうでしょう。たくさんの言葉も持っている、お経も持っている、...
(中沢)人間の文化とか宗教というものを、いままで考えられていたような理解で、これからやっていてもいいのかなと、僕などは考えてしまうんです。ユングはそういうことに気がついていた数少ない人だ、という印象を受けます。(河合)た...