それは、できるかぎり自由になるということだと思います。
(鷲田)……前回も「聴く」ということを、先生が話題にしてくださったんですが、そのときに、聴くというのは言葉を受けとめるということで、とても大事なことだと思うけれども、大事なことは、話の内容も大事だが、要するに内容を肯定し...
(鷲田)……前回も「聴く」ということを、先生が話題にしてくださったんですが、そのときに、聴くというのは言葉を受けとめるということで、とても大事なことだと思うけれども、大事なことは、話の内容も大事だが、要するに内容を肯定し...
(鷲田)ケアの現場なんかでも、生野学園と同じで、ひょっとしたら食べ物というのが、ものすごくケアの現場なんかのベースにあるのかもしれませんね。(河合)だから、生野学園は「あてがいぶち」じゃないんです。いろいろあって、生徒が...
(河合)父上様、母上様に続いて「姉上様 何何は美味しうございました」と、食べ物がずっと続くんですよ。僕はそれをもじって、比叡山会議の翌日あるところでしゃべったんです。「皆さん、こういう遺書があるんです。今の子が死ぬときど...
(鷲田)……それについてはエドマンド・リーチという文化人類学者がめちゃくちゃ面白いことを言っているんです。これには私、感動しました。食のタブーと性のタブーと、侮蔑語の使用というのが、ほとんどの文化で対応関係にあるそうなん...
(鷲田)これは、性の達人になる道にも近いですね。(河合)本当ですね。だから、セックスというのは象徴的にものすごく意味が深いんですね。だから、皆、性のことにも関心があるし、文学の対象にもなるし、いろんな話の中でセックスがい...
(鷲田)私、実は心理学に恨みがあるんです。学生時代に実験心理学か何かの人に材料にされまして。ちょっと被験者になれと言われて、知覚能力のテストをさせられましてね。自分が意識できないぐらい素早く切り替わる画面を見せられて、「...
(河合)両方でしょう。完全に両方なのに、片方だけ言うと危なくなると思いますね。そうすると、片方だけの知識を持ったら、皆「自分は臨床家になれる」と思うわけです。絶対になれないですよね。その証拠にいくら本を読んでもなれないで...
非常にわかりやすい例は、箱庭なんかでも面白いことに右半分しか使わない人がいるんですよ。あれは面白いと思うけれども、右半分に置いて、左側はまるきり空いているんですよ。それでも「できました」と言う人がいるんですね。 前回より...
(鷲田)私は哲学というのは専門家のものだとは全然思っていない。哲学って身近なテーマばかりですし、皆が関係あるテーマばかりですよね。「ことばとは何か」とか、「身体とは何か」とか「他人とは何か」とか。 日本は明治維新になって...
「心理学と哲学は研究分野を異にする」というのが、日本のアカデミズムの捉え方(価値観?)であり、「両分野には明瞭に“境界”が存在する」という前提に立っています。ところが、このスタンスに疑問を抱く心理学者の河合隼雄さんと哲学...
(鷲田)「そのときにしゃべっていることばは、聴くほうからか、話すほうからか、どっちがしゃべっているのかわからないことばにだんだんなっていく」と、前の対談のときに教えていただきました。哲学カフェをやっていて面白いなと思うの...
(河合)それは、われわれも同じことをやっていると言ってもいいぐらいですね。私なんか実際に個人を相手にやっている。ところが、ある人からたとえば「父親を憎んでいる。だから、私の目標は刑務所を出たときに親父を殺すことだ」という...
(鷲田)……いちばん面白いのは刑務所へ行って、それこそ幸福論なんかをディスカッションするわけです。刑務所なんかではすごくうまくいくらしいです。皆真剣だから。…… 前回、最後に引用した鷲田さんの言葉を再掲しています。ヨーロ...
(河合)……だから、今までの、いわゆる学問体系というのは、まず方法論が明確であって、方法論によって皆を安心させて、つまり「私はこういうことをしているから、結果はこうなんですということをわかって、その結果、こういう答えが出...
(鷲田)ケアとか看護といったシーンで、いちばん難しいけれどもいちばん大切なのが、「距離」でしょうか。密着しない。しかも離れすぎない「距離」……。(河合)それは本当にそうだと思います。(鷲田)看護師さんなんかでも、一生懸命...