「精神(心)の考古学」は、吉本隆明さんによる20年後の「贈る言葉」
それは、未開の宗教、医術、知識、経験などを継承し、それに通暁しているか、それらの技術を保存している固有社会の導師に弟子入りしてその技法を体得し、その核心を現代的に解明することだ。たぶん中沢新一の『チベットのモーツァルト』...
それは、未開の宗教、医術、知識、経験などを継承し、それに通暁しているか、それらの技術を保存している固有社会の導師に弟子入りしてその技法を体得し、その核心を現代的に解明することだ。たぶん中沢新一の『チベットのモーツァルト』...
「……」しかし、ある古典的な遠い過去の時代に、人間は(住民は)どんな精神(心)をもち、何を考えていたのかなどを推論により知りつくすためにはどうすればいいのか、何を繰り返せばよいのか。この精神の考古学とでもいうべき専門家た...
(中沢)……チベットのやり方では、最初にものすごく夢を見るようにする。つまり、眠りを浅くして、次から次にいろいろな夢が出てくるような状態をつくりだすわけです。その修行をやる時は、何日も夜寝ないで、昼間でも寝ているのか寝て...
(中沢)そこから出発しますから。もともと人間の心は最初から完成しているものなんです。それが見えなくなっている状態なので、それを見えるようにするためにかきわけていく。整理したりする技術の体系が複雑になっているだけなんです。...
(河合)ですから、わからないことがすごく多いんですけど、わからないけれど意味があるんですね。わからない、わからないと言っていると、わかるものがポンと出でくる。しかし、わからない時にずっと待っているということは、分析家がい...
(中沢)そういうふうに考えると、職人の技とユングなどの夢理論というのは、非常に関係があると思うんです。一方、フロイトの精神分析学というのは、カソリックの神父さんが告解所のなかでやっている行為とよく似たことをやるわけですよ...
(中沢)最初に話したマレイ半島のセノイ族の夢技法というのも、考えてみたら土器つくりみたいなものではないかなという気がするんです。(河合)セノイ族のことなんか、ユング派の人は知らなかったと思うんですよ。けれども、僕なんか夢...
(中沢)…… 彼は『大地と休息の夢想』(草思社)を書いて、夢というものをもう一度大地とつなげるものにしようとしますね。ガストン・バシュラールが書いていることで僕がいちばん印象に残っているのは、これは夢の問題とも絡んでいる...
……反ユダヤ主義文献の全部に共通するのは「ユダヤ人がその社会で支配的な擬制(律法、倫理、貨幣、国家、等)を媒介にして、人間本来のみずみずしい生命の流露をせき止めている」という告発である。つまりユダヤ人は「つねに自分たちよ...
(中沢)……今のソビエトにとって、ユダヤ人問題がいちばん大きいんです。というのは、反共主義の陣営に立っているロシア民族派の人たちは、ものすごく強硬な反ユダヤなんですね。彼らが言っているのは、要するに社会主義革命というのは...
(中沢)…… 今日の文明は、やはりユダヤ的な知性が大きくリードしてつくられているわけで、そういう世界のなかでは、ユングのように霊的なものを大事にする人たちというのは、頭が悪いと言われるわけですね(笑)。(河合)そうなんで...
(中沢)……その人たちは非常に頭がいい。語学もできるし、分析力も非常にある。けれどもチベット人のお坊さんたちにいわせると、あの人たちはわかっていないという点があるんです。重要な一点なんですけれども、それがわからないんです...
(中沢)…… 一向宗の場合は、同じ一神教といっても縄文的な一神教というか、あれをやっている人たちというのは、職人さんとか山で生活をしている人とか、そういう人たちが多いですからね。そのベースになっている宗教というのは、縄文...
(中沢)今の科学者はそうでもなくなってしまったけれども、草創期の科学者というのは、みんなが夢をもちヴィジョンをもっていましたよね。あのヴィジョンに、僕はほとんど宗教に近いものを感じるんですけれども。(河合)そう思いますね...
(河合)その一神教の流れが自然科学なんですよね。みんな、それだけを信じているわけです。(中沢)河合先生はこのあいだ新聞に、神様はたくさんいるんだということをお書きになっていましたね。人間の無意識のなかにいろいろなパターン...