アンソロピック上場計画(目論見書)の「AI終末論と福音主張」…この「矛と盾」を考えてみた

本日の日本経済新聞(10月29日の朝刊)は、「AI終末論と福音主張」という矛と盾を併記したタイトルを充て、アンソロピック上場計画(目論見書)を解説しています。読者の注意を喚起すべく「一神教論的物語」風にまとめています。私も「コーチング大百科」にふさわしい記述にチャレンジしたくなったので、「生成AIには生成AIで」と考え、質問してみました。まずはその回答を紹介します。

私(筆者註:生成AIのこと)は、その日経の見出しはかなり本質を突いていると思います。なぜならAnthropicの目論見書を読んでいくと、そこには単なる「リスク開示」と「成長戦略」の併記ではなく、一つの宗教的ともいえる物語構造が見えるからです。日経が「AI終末論と福音主張」と表現した背景には、Anthropicが次の二つを同時に語っていることがあるのでしょう。

・AIは人類の存亡を脅かす可能性がある
・しかし、その危険なAIを安全に導けるのは私たちである

目論見書では、人類に破滅的リスクをもたらす可能性や、自律性の高いAIによる危険性が繰り返し語られています。リスク説明だけで約90ページを割いているというのは異例です。ところが同時に、「AIは電力やインターネットに匹敵する変革をもたらす」とも主張している。つまり、この技術は恐ろしい。しかし、この技術は人類を豊かにする。そして、その危険と恩恵を最も深く理解しているのが我々だ。というストーリーになっているのです。私は、日経記者はここに「終末論」と「福音」の対比を見たのだと思います。実はこれは宗教史によく現れる構図です。

キリスト教でいえば、
・終末が来る
・救済がある
・正しい道を示す者がいる
という三段構造です。

Anthropicの場合、
・強力なAIは危険である
・しかしAIは文明を飛躍させる
・安全なAI開発を行うAnthropicがその案内役になる
という構図になっています。

これは偶然ではなく、創業者のダリオ・アモディらが以前から「AIセーフティ」を思想の中心に据えてきたこととも整合しています。
ただ、私がもっと興味深いと思うのは、日経の見出しが単なる皮肉ではなく、「上場後の最大の矛盾」を示している点です。未上場の研究所であれば、「安全第一だから成長を遅らせる」と言えます。しかし上場すると株主が現れ、「もっと成長しろ」 「もっと利益を出せ」という圧力が加わります。それでもAnthropicは創業者による強い議決権支配や特殊な公益目的会社(PBC)の仕組みを維持しようとしている。つまり、利益最大化だけを目的とする会社にはならないと宣言しているわけです。ですから、私がこの見出しを読んだら、「矛と盾」というより、「預言者が帝国になる瞬間」を描いた記事なのではないか、と感じます。

これまでAnthropicは、「AIは危険だから慎重に開発しなければならない」と語る側でした。ところがIPOによって数十兆円から百兆円規模の資金を集める存在になろうとしている。つまり今後は、「危険な技術を監視する人」であると同時に、「危険な技術を世界最大規模で推進する人」にもなる。日経の「AI終末論と福音主張」という見出しは、その歴史的なねじれを一言で表現したものではないでしょうか。

樹志さんなら、この構図をコーチングや組織論の観点からも面白く読めると思います。組織はしばしば「課題を解決するために生まれた存在」が、成長すると「課題そのものを拡大する存在」に変わります。Anthropicはいま、その境界線に立っているように見えます。そこに日経は物語性を感じ取り、「終末論」と「福音」という読者の心に刺さる言葉を選んだのだと思います。

生成AIは、私(文字通り私である坂本樹志)が何を書きたいのか、ちゃんと予測していますね。実は、この「コーチング大百科」で取り上げようと思ったのは、目論見書の中で、改めて「ダリオ・アモディCEOをはじめとする7人の共同創業者」に触れ、独自のガバナンス構造を解説しているからです。

取締役の監督機能も高めた。事業形態として公益重視の「パブリック・ベネフィット・コーポレーション(PBC)」を採用し、ガバナンスのお目付け役となる監督機関「トラスト(長期利益の信託)」を設けた。

この「トラスト(トラスティ)」については、コラムやこの「コーチング大百科」で、これまでも取り上げています。2023年7月12日のコラム(架空のコーチング対話)の当該箇所を再掲させていただきます。

(Sさん)トラスティ… ああ、ありましたね。トラスティの意味は「信託」だ。

(A課長)グリーンリーフは、『サーバントリーダーシップ』第2章の冒頭でこう言っています。

「現代の新しい必要条件は、組織に対する高レベルでの信頼だ。それがなければ、組織は奉仕できないし、今持っている自律性さえも失いかねない。信頼が今の緊急課題であり、そのためにトラスティの役割を広げる必要があるのだ。」

(Sさん)私は“守り”が苦手なので、そのあたりのコメントはうろ覚えだ。

(A課長)グリーンリーフは、第1章の最後で、次のようにコメントし、第2章につなげているのですね。

「強制的な権力はあからさまで暴力的なこともあれば、ひそやかで微妙なやり方で操作を行う場合もある。前者はオープンで目に付くが、後者は狡猾で目につきにくい。われわれのほとんどは、自分で思うよりも強制を受けている。それに気づくよう、もっと注意深くならなければならない。」

第2章の最後あたりのコメントにも響きました。

「一人の責任者という概念があまりにもしっかりと根づいてしまっている。この概念に馴染んだ者が多すぎるのだ。いまだに、疑問視もされずに権力が受け入れられる。そして組織の凡庸さは、今日、組織への期待感が大きく変わる中でも、見過ごされているのだ。(中略)権力の濫用を抑制するには、権力保持者のまわりを強力で対等なメンバーが取り囲めばいい。そして、監視グループであるトラスティがそのチームをしっかり監督するのだ。権力にはいくつか種類がある。その一つは強制的な権力で、おもに破壊のために用いる。この権力を使って作られるのは、たいして長続きしない。おそらく独裁的だと思われる企業のような組織も、強制的な権力を使用すると逆効果だということを学びつつある。手本を示すリーダーシップこそが、何かをつくり上げる方法なのだ。それはどんな分野にも通用する。」

理念(理想とする信念)を実現させていくには、矛盾を矛盾のまま放置するのではなく、どこまでもどこまでもその共存をめざして、人類が共有する叡智を全身全霊で思考・駆動させ、実践し続けることであると、痛感させられます。希望を失った時、終末が本当に訪れるかもしれませんから。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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