「いや、名もない者です」というスタンスでもちこたえたんです。だけど……

(河合)
ばななさんも、そういうつらい少女時代を送られたわけですね……。
(吉本)
いまもです、いまも(笑)。
(河合)
それは、基本的に自分を取り巻くものは変わっていないということですか?
(吉本)
うーん、そうでしょうねえ。それが創作と何か関係あるかというと、ないような気がします。損してる。
(河合)
それが、損してるのか、創作に関係しているのか、ということは研究に値しますね。
(吉本)
そうですよね、じゃなくて、そうですか?(笑)

河合隼雄さんと吉本ばななさんの対談『なるほどの対話』の第1章「若者のこと、しがらみのこと、今の日本のこと。」の13番目の見出し「決意」のはじまりを引用しました。
読んでいただくと分かるように、この見出しでは、河合さんかシンプルな質問を繰り出し、ばななさんが、それに「率直に」答える、という流れになっています。

河合さんの「創作観」を前回の解説で引用しています。ばななさんの語りに傾聴で臨んだ河合さんは、「ぎりぎりに追い込まれないと。命がかかるくらい追い込まれないと、創作にならない」と、応じます。読むうちに、ふかい「癒し」に満たされるばななさんの作風からは、そのような「執筆態度(ぎりぎりまで自分を追い込む)」は想像できないと感じられますが、河合さんは「何か」を掴んだようです。ここから、創作者である作家ばななさんの自己開示がはじまるのですね。

ここまでの対話は、臨床心理学の巨匠である河合さんの内面を知りたくて(小説家の本能?)、ばななさんはどちらかというと、質問を重ねる人でした。1月23日に公開した<吉本ばななさんは、ネイティブコーチだった!>で、ばななさんの「質問力」の解明に挑戦しています。
ところが、ここでの見出しが「決意」とあるように、創作者であるばななさんの「真摯な姿勢」が、つまびらかになっていくのです。自問自答するように言葉が紡がれます。1ページを超える語りのところを(一部)引用します。

(吉本)
…… 「でも、吉本さんだからこういうことが書けるんだわ」とか「わたしたちみたいに普通に暮らしていないだろうし」と思われてしまう可能性も高いんですね。だから、作品に込める力のあり方で、そういうのを超えたところに行かないと、結局ダメなんだと。私にとって大きいテーマだと思います。あの、なんていうのか、普通の感じから離れて十二年も経つと……、作家になって十二年なので(笑)、ちょっとずつ普通の部分が減ってきちゃうんですね。環境がそうさせたり、その「普通さ」を保とうと思いながら、いまの年齢までやってきたんです。たぶん、結局、そういう意味では社会に参加していない。地域社会に参加していないというか。そういうことがひとつと、芸能人でもないし文化人でもないとなると、もう、わかるジャンルにいないということになっちゃうんです。(中略)ほんとうの意味で自由が息づいているような作品を書くにあたって、自分を日本のなかでどういう位置にもっていくのか。

ばななさんの「心の声」に河合さんは、一言「本当ですね」、と応えます。ばななさんは、「普通にやっています」というふりをし続けていたと、河合さんに告白します。それが「最近はそう思わなくなった」…

(吉本)
…… いままでは「隠した方がいい」って勘がはたらいていたのに、最近はそうは思わなくなった。文化人化と芸能人化を避けるあまりに、十年までは「いや、名もない者です」というスタンスでもちこたえたんです。だけど、これからはちょっと……。
(河合)
創作していかないかんから。ものをつくっていかないかんからねえ。

世間は、作家や芸術家、プロスポーツ選手など、並外れたパフォーマンスを発揮している人物に対し、「持って生まれた天分」といった表現を用います。もちろん、それもあってのことでしょう。ただ「信実」は、「極限的な努力(しかも持続あっての)」こそが、その人の「業績」をかたちづくっている。もっとも、本物のプロフェッショナルは、自分が努力していることを“熱くるしく”語ることをしない。プロとしての「矜持」です。
エグゼクティブコーチングは、「鎧」をまとっているエグゼクティブのクライアントが、その「鎧」を脱ぎはじめ、「本音」が顕われてくると…ビビットに息づいてきます。筆者は『なるほどの対話』に、コーチングの輝きを見出しています。


コーチング情報局を運営する株式会社コーチビジネス研究所では、企業を対象としたコーチング研修、ビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチング、個人の方を対象としたライフコーチングを提供しております。その他、コーチングを学びたい方のためのコーチングスクールの運営、経営者やビジネスリーダー向けにセミナーを開催しています。興味や関心がございましたら、お気軽にご相談・お問い合わせください。

This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
Coach Business Laboratory, Inc., which operates the Coaching Information Bureau, provides coaching training for companies, business coaching for business people, and life coaching for individuals. In addition, we operate a coaching school for those who want to learn coaching and hold seminars for executives and business leaders. If you are interested or have any questions, please feel free to contact us for further information and consultation.

認定コーチ紹介サービス
ホームページ制作サービス
Certified Coach Referral Service
Web Site Creation Service