フロイト、アドラー、ユング、ロジャーズ、パールズ…臨床心理学の歴史です

(河合)
曼荼羅の話、とても面白かった。もう少し若かったらがんばるんだけど、この頃は量子力学とかそういうものをやる元気がないから。心理学のほうに行きましょうか。心の構造の話。唯識のほうです。
(中沢)
西欧で発達した心の科学は、近代ではフロイトとユングという二つのかたちで発達してきました。

引用は、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>7番目の見出し<心の思想構造>のはじまりの対話です。
同書は53の見出しで構成されているのですが、当該見出しを含め、残り3つとなりました。その掉尾を飾るテーマが「心理学」「文学」ということで、筆者は少し興奮しています。というのも、この「コーチング大百科」を語る上で、そのベースになっているのは、フロイト、アドラー、そしてユングから始まった「深層心理学」「臨床心理学」の体系だからです。
そこで、振り返ってみました。800話を重ねたこの「コーチング大百科」で、何人の心理学者を取り上げてきたかを。

第1話は、2022年8月30日の<コーチングという名称の由来は?>です。9月5日の第6話に<コーチングの概念形成に影響を与えた心理学やカウンセリングとは?>を公開しています。第7話は、<フロイトは人の心を構造化して説明しています>のタイトルで、フロイトの最初を取り上げました。
以降、ユング、アドラー、ロジャーズ、パールズ、バーン、エリス、フランクル …… 心理学理論を紹介しつつ、コーチングに敷衍しています。これら心理学者の名前をサイト内検索欄に入力いただくと、さまざま出て来ます。特に、ロジャーズは「コーチングの3原則」のバックボーンとなった理論(来談者中心療法)を提唱した人物です。「コラム」と「コーチング大百科」の双方で、かなりの数を重ねています。

後半は、「“日本的”コーチング」というテーマを設定することで、世界の心理学者から、日本を代表する臨床心理学者の河合隼雄さんにシフトしています。河合さんは「対話のマジシャン」です(笑)。なお、取り上げた河合さんの対談のお相手は、「作家が多いなあ」と気づかされます(当初はジャンルを選んだつもりはなかったのですが)。

並行して書いていた「コラム」では、村上春樹さんとの対談を取り上げています。「コラム」は「コーチング大百科」と趣を変えています。テーマを広く設定していたこともあり、川上未映子さんをはじめとする日本の作家、文学者を取り上げることが多くなりました。多和田葉子さんの『献灯使』についても紹介しています。なお、意識していたわけではありませんが、春樹さん、未映子さん、葉子さんの三者は、日本人でもっともノーベル文学書に近い人物として高く評価されています。

「コーチング大百科」に戻りましょう。「コラム」と比べて「コーチング大百科」の各1話は、ほどよい文字量とし、短時間で読み終えることを旨としています。対談集として、特にお勧めしたいのが『生きるとは、自分の物語をつくること (新潮文庫)』です。
アマゾンの評価をチェックすると、「5つ星のうち4.4 (606)」と、600人以上が評価を寄せています。代表的ベストセラー“対談”ですね。同書を読んだ際の感動を思い出し、この「コーチング大百科」で、2024年3月28日から5月7日まで29回ほど綴ってみました。小川洋子さんは、河合さんの生前最後の対談のお相手となります(公開された対談において)。ですから「追悼の書」としての性格も有しています。補足すると、外国語で翻訳されることの多い小川さんも、ノーベル文学賞に近い人物として名前が挙がっています。

同書の最後に小川さんは、「二人のルート~少し長すぎるあとがき」を添えています。そこに込められた想いを、<小川洋子さんは、河合隼雄さんとの対話を“懸命に”振り返っている…>のタイトル(21話/29話)で、綴ってみました。筆者は“小川さんのたましい”を感受しています。

今回は、800話を重ねた「コーチング大百科を振り返る巻」となりました。
河合さんは臨床心理学者(心理療法家)ですから医者ではありません。したがって、医者には認められている薬物治療はできないのですね。対話のみのカウンセリングと、精神科医が施す薬物治療の違いをお二人が語ります。次回は、そのあたりについて紹介することにしましょう。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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