
(中沢)
曼荼羅の内部では、一人ひとりの、どんな細部に潜んでいる小さな神様も、それぞれが勝手に動いています。しかしその一人ひとりの動きは、ただちに全体につながっていきますから、勝手に動きながら、真ん中にいる大日如来の意図とシンクロ二シティ(同時性)の関係で結ばれていることになります。
(河合)
ただシンクロニシティで結ばれているところが非常にわかりにくい。
前回まで、河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の最終章(6回目の対談)<大日如来の吐息…科学について>の3番目の見出し<量子論と曼荼羅を結ぶもの>を4回ほど取り上げ、コーチングに敷衍しています。今回は4番目の<曼荼羅は統一しない>に移ることにします。
「シンクロニシティ」とは、ユングが提起した「共時性…意味のある偶然の一致」のことです。これまで複数回取り上げています。その一つ<「偽科学」はどのような背景によって生み出されていくのだろうか?>で、紐解いてみました。一読いただくと幸甚です。
ここから中沢さんの碩学ぶりが開示されます。「アインシュタイン・ポドルスキ―・ローゼンのパラドックス」(EPRパラドックス)についてです。
ネーミングが示すように3人の物理学者によって提起された思考実験(1935年)のことで、「量子論のはじまり」として振り返りつつ、紹介されることが増えています。『仏教が好き!』のここでの対話は、2003年なので、当時は物理学の専門家でなければ、話題にならなかったテーマだと想像します。中沢さんは「宗教人類学者」ですから、まさにリベラルアーツを体現されている。
(中沢)
…… 最初に二つの電子をくっつけておいて、それから二つを遠くに分離します。とてつもなく遠くに分離することもできます。電子にはスピンという性質があって、それは上を向いているか下を向いているかのどちらかです。標準的な量子論の正統教義では、観測が行われないと、電子のスピンが上か下かわかりません。観測という行為が行われた瞬間に、上なのか下なのかが決まると考えられています。……
同書の第6章は、誰もがとても遠いと感じる「量子論」と「曼荼羅」がつながっていくことを、中沢さんと河合さんが語り合う内容です。刺激的な流れです。
筆者は、お二人の対話をコーチングの「異質の調和」として、<「物語」…世界をつなぎ合わせる計り知れない働きが、そこには作用している>というタイトルを付し、描いてみました。
量子論(量子力学)は、「量子もつれ」「重ね合わせ」がキーワードです。量子コンピューターの原理を調べると、この二つのキーワードが必ず登場します。中沢さんは、「量子もつれ」「重ね合わせ」の文言は使っていないのですが、この短い語りで、うまく説明されている印象です。そこで生成AI(Copilot)に確認してみました。回答を引用します。
結論から言うと、中沢さんの説明は「量子もつれ(エンタングルメント)」と「重ね合わせ」の両方の要素を含んでいます。説明としては端的で正しく、専門的な細部は省略されていますが、一般向けの理解としては十分に妥当です。
中沢さんの説明と「重ね合わせ」
重ね合わせ(superposition)とは、電子のスピンが「上」か「下」か、観測するまでは両方の可能性が同時に存在している状態を指します。中沢さんが「観測が行われないと、電子のスピンが上か下かわからない」と述べている部分は、まさにこの重ね合わせの性質を説明しています。
「量子もつれ」とEPRパラドックス
EPRパラドックスは、二つの粒子が「量子もつれ」状態にあるとき、一方の粒子を観測すると、遠く離れたもう一方の粒子の状態も瞬時に決まる、という現象を指します。中沢さんの「二つの電子をくっつけておいて、それから遠くに分離する」という説明は、まさに量子もつれの典型的な思考実験です。つまり、彼の説明は「重ね合わせ」だけでなく、重ね合わせが二粒子間で共有される特殊な状態である「量子もつれ」を簡潔に紹介しているといえます。
生成AIはこの後…宗教人類学者としての立場から紹介したにしては非常に的確で、リベラルアーツ的な「橋渡し」として優れています…と、まとめてくれました。
中沢さんの碩学は2ページ半にわたって続きます。この見出しタイトルのキーワード「統一しない」ことの意義が語られる内容です。河合さんも深く共感します。次回は、そのあたりについて、コーチングに敷衍してみようと思います。
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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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