ブッダは実にくだらない告発にも(熱心に)裁定を下していた!?

サーリプッダ長老(『般若心経』に登場する舎利子)は、釈尊や自分たちのような直接教えを聞いた弟子たちが滅した後も、その教えが正しく伝わるよう、釈尊に戒律の制定を強く望んだ。戒律こそ、花が風に散らされぬようまとめる糸のような存在であるというのだ。

河合隼雄さんと中沢新一さんの対談集『仏教が好き!』の第3章最初の見出し「仏教における性の戒律」を取り上げる2回目です。
ブッダの頃の仏教教団は、独身者だけの集団です。この独身者たちの行動の基準として、いろいろな戒律が定められるのですが、それを集めたものが『律蔵』です。

中沢さんは、「その内容たるや、あまりにも面白いものなので、紹介しないでおくのはもったいないと思って、パーリ語のできる友人に頼んで、さわりを翻訳してもらった次第です」と、『律蔵』をテーマに、河合さんとの対話が展開されます。
その「さわりの翻訳」は、同本の145~152ページに掲載されています(宮崎信也訳)。冒頭の引用は、その書き出しなのですが、性に関する内容を14ほど選び、抄訳したものだと理解しました。

前回……2500年前の古代インドの人達は、「性にまつわる行為」に関して、現代の日本人が抱く感覚とはまったく異なるようです。「あけすけ」であり「どぎつい」表現のオンパレードです。……と、「抄訳」を読んだ感想を率直に書いてみました。古代仏教の「聖典」に対して、このような「俗」なる言葉を用いてしまったことに、お叱りを受けそうですが、この戒律(『律蔵』)をつくるきっかけとなった内容が、「抄訳」の最初に記されているので(戒律の第一)、引用することにします。

カランダ村にスディンナ・カランダプッタという資産家の跡取り息子がいた。彼はヴェーサーリ―において釈尊の説法を聞き、出家弟子入りを志す。しかし、両親はこれを許さず、彼は断食に入る。両親はやむなく出家を許す。出家して遊行(ゆぎょう)生活に入った彼がしばらくしてヴェーサーリ―近郊に来たことを知った両親はあらゆる口実で還俗を求めた。しかし、スディンナはそれを拒否する。
家督を継ぐものがいないと財産すべてを王に没収されることを恐れた両親は最後に、スディンナのもとの妻を呼び寄せ、せめて子供をつくって家系を保持するよう懇願する。スディンナはこれを受け入れ、月経の日から日数を計算した上でもとの妻を伴って森林のなかで三回の交わりを持った。もとの妻は懐妊し、ビージャカ(続種の意)という息子がいる。
未だ戒律は制定されていなかったが、スディンナは罪を犯したのではないかと悩む。それを知った釈尊は、そんなことをすれば、教団が世間から誤解されると、スディンナを大声で叱責し、はじめて戒律の第一を制定することを宣言する。曰く、
「すべての出家修行者は女人との交わりを持てば、すべからく教団を追放とする」

「抄訳」の14について、引用はこの「第一」に止めます。というのも、これ以外は、まさに「どぎつい内容」ばかりなので……
中沢さんは、この「奔放な内容」を紹介します。

(中沢)
……なんて人もあらわれました。で、かならずそれをたれ込む奴がいて、そのたびにブッダは実にくだらない告発に裁定を下さなければならなくなる。そのやり方でしたのなら教団追放、でもこっちのやり方ならまあいいか、とか。本当にブッダもご苦労様という感じなんです。これだったら、初転法輪なんかしなければよかったと思うくらい。(初転法輪は、釈迦が悟りを開いた後、最初に仏教の教えを説いた出来事)

中沢さんは、「あまりに奔放な内容なので、日本ではちゃんと紹介されていません、もったいないと思います。」と語ります。中沢視点がつよく出ていますが、2500年の時を経て世界に広がった仏教は、お国柄(文化という価値観、そして宗教)によって、その「教え」は脚色されているのかもしれませんね。「原典」を知ることの意味について、考えさせられます。
ここでの「見出し」の最後のお二人のやりとりを引用して、今回を終えることにします。

(中沢)
この具体性が仏教の一大特徴だと思います。ユダヤ教の「十戒」などでも性の規定はありますが、大上段から決めていきますから、いちいちこの体位ならいいけれどもあれはだめというような決め方はしていません。キリスト教の修道院の規律でも、こういう具体的かつ生々しい記述というのはありません。そして、仏教の場合には上位概念といいますか、抽象的な規定というものはほとんどなくて、具体的なその場その場のケースごとに、判断をしていきます。こりゃいったい何なんだ、というのが、長い間の僕の抱えた謎でした。
(河合)
驚きですね。具体的やね。


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This article was written in Japanese and converted into English using a translation tool. We hope you will forgive us for any inadequacies.
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